12/17(金) 6:15配信
東スポWeb

ソフトバンクの育成大砲・黒瀬(東スポWeb)

 瀬戸際に立つ男の覚悟を知って身震いした。ソフトバンクの育成大砲・黒瀬健太内野手(24)は今オフ、2年連続で巨人・中田翔内野手(32)の自主トレに志願参加する。

 11月下旬、黒瀬は恐縮しながら中田の携帯電話を鳴らした。「また一緒にやらせてもらえませんか」。中田は一拍置いてこう返したという。「俺も今年はいろいろあって苦しかった。厳しい立場はお前と変わらない。俺たちはお互い、もう後がない立場。だから、歯を食いしばって一緒にやろうな」。今年8月、日本ハムで同僚選手に暴力行為を働き、出場停止処分を受けて巨人へトレード。パ・リーグで3度「打点王」を獲得した実力者は、移籍先で名誉挽回の活躍を期待されたが不発。慕ってかけてきた黒瀬の電話に、待ったなしの覚悟がにじんだ。

 2015年ドラフト5位入団の黒瀬は、18年10月に戦力外となり育成選手として再契約。再び支配下登録を目指す高校通算97本塁打の右打者は、王球団会長や藤本新監督ら首脳陣も潜在能力を高く評価し、覚醒を期待される存在だ。「お前と俺は似ている。お互い右の長距離砲として、この世界に入ってきた。俺たちにしか分からない苦しみ、悩み、壁がある。何でもいいから聞いてくれ」。中田はそう言って弟子入りを認めてくれた。自身が理想とする打者であり、世間に伝わっていない「素顔」を知っているから再び門を叩く。

 事実、周囲には中田塾への参加に好意的ではない声もあった。「そんな人じゃないです。一度ついたネガティブなイメージを覆すのは難しい…。翔さんのところに行く人間だから、私生活でも『人』というところを大事にしている。グラウンドでも面倒を見てもらっている自分が頑張って育成からはい上がれば少しは見方が変わる」。支配下に返り咲くという思いは、これまで以上に強い。

 1月上旬から沖縄・石垣島で行われる「中田塾」には、巨人の新星・秋広らも参加する。「今回は前もって、きつくなると言われたし、覚悟を感じた。自分のことだけでも大変なのに、翔さんは受け入れてくれた。とにかく恩返しがしたい」と語った黒瀬。鷹の育成大砲は、師匠とともにはい上がれるか――。

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