東京五輪・パラリンピックのメイン会場となった国立競技場の運営権の民間移行に向け、日本スポーツ振興センター(JSC)は5日、参入を希望する民間事業者から収益化の戦略などを聞く意向調査を始めると発表した。関係者によると、陸上トラックを残すことを基本線に、2023年後半以降の民間事業化を目指す。

 所有権を国に残し、管理・運営権を民間に売却するコンセッション方式を採用する方針。市場の声を踏まえて民間に移す業務や期間などを決め、公募や審査を経て優先交渉先を選ぶ。収益性を高める一部改修も検討中で、移行まで少なくとも2年間はかかる見通し。

 政府ではトラックを撤去して球技専用にする計画もあったが、現在はトラックを残す方向。陸上の世界選手権を招致する動きもある。関係者によると、19年の意向調査では五輪・パラを控えた警備上の理由で図面を開示しなかったが、今回は陸上競技場の図面を示す。意向調査は11日まで受け付け、現地見学会も行う。

 国立競技場は、総工費1569億円。来年3月末までは五輪・パラの大会組織委員会に貸し出されている。年間維持費は24億円と試算されている。