掛布雅之氏からのメッセージ 「泥臭い鳥谷敬」が好きだった いつか再び阪神のユニホームを


ロッテは31日、鳥谷敬内野手(40)が今季限りで現役を引退すると発表した。同日、本人が申し入れた。

阪神、ロッテで通算2243試合出場で2099安打をマークした鉄人は、球団を通じて「今は感謝の気持ちでいっぱいです」などとコメントした。

圧倒的な練習量で強靱(きょうじん)な肉体を作り上げ、歴代2位の1939試合連続出場、遊撃手史上最長の667試合連続フルイニング出場など数々の記録を樹立。
阪神レジェンド・テラーでスポーツ報知評論家の掛布雅之氏が、一時代を築いた名遊撃手にメッセージを寄せた。



鳥谷と深い付き合いになったのは阪神の2軍監督(16、17年)を務めてからだ。現役時代のタイプは違っていたが、接してみると妙に話が合った。

頭の回転が速く、気遣いができる好青年。選手としては下り坂の時期で難しい立場となっても、全く愚痴は吐かなかった。
深い野球観を語ってくれて、私の話に聞き入る素直さもあった。

その外見やプレーぶりを見る限り、最初はクールな男だと思っていたが、根っこの部分には泥臭さがあった。私が惹(ひ)かれたのは、この「泥臭い鳥谷」だった。


鳥谷という選手の良さは数字では表しにくい。
30本のホームランを打つわけでもなく、3割を打ち続けるわけでもない。
走って、守って、そして試合に出続ける。

走攻守のトータルで勝負する選手で、そのための「準備」はチーム内の誰しもが認めていた。
言葉で引っ張るタイプではなかったが、背中で引っ張り、仲間から尊敬され、愛される選手だった。

完全燃焼を求めて、ロッテでプレーした2年間。
決して満足のいく成績ではなかったと思うが、この経験は必ず今後の糧となる。阪神で一時代を築いた選手が、違うチームで静かに引退することに何とも言えない寂しさを感じる。

いつの日か、指導者としてタイガースのユニホームを着てほしい。

(阪神レジェンド・テラー、スポーツ報知評論家・掛布雅之)


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