10/7(木) 18:00配信 AERA dot.
https://news.yahoo.co.jp/articles/faaf6c85124e056a73631c1fd58ce659965a8532

 スポーツ中継を見るために、お金を払う時代がやって来た。

 テレビ離れが進みネットで配信される有料コンテンツが増える中、スポーツ界も同様の流れが加速している。

 従来のようにテレビを通じ無料で気軽に情報を得る機会がなくなれば、興味そのものが激減してしまう可能性もある。今後のスポーツの在り方すら左右する重大局面を迎えている。

 サッカーでは、日本代表がワールドカップ(以下W杯)出場をかけたアジア地区最終予選のアウェー戦がテレビ中継で見られなくなった。22年カタール大会出場を目指す日本代表だが、地上波などテレビ中継で見られるのはホーム戦のみ。アウェー戦はアジアサッカー連盟とホームを含む全試合契約を結んだ映像配信サービスDAZNでしか視聴できなくなってしまった。

「水面下でDAZNが交渉しているのは知られていましたが衝撃的なニュースでした。DAZNがJリーグと一括契約することで各クラブに莫大な放映権料が入り助けられた。感謝しかないが、これまでの日本サッカー界、代表チームの歴史もある。協会、各テレビ局にとって苦渋の決断だったはず。最終的にはビジネス、お金の部分でテレビ局側が太刀打ちできなかったということ」(大手広告代理店関係者)

 日本は今でこそW杯の常連となったが、これまでは幾度となくアジア予選で苦渋を味わってきた。それを伝えてきたのがNHKと民放各社によるテレビ中継だった。熱戦の記憶が実況アナウンサーの名言とともに蘇ってくる人も多いのではないか。また最近では「絶対に負けられない戦いが、そこにはある」というテレビ朝日のキャッチフレーズがサッカーファン以外にも広く浸透している。サッカー日本代表にとってテレビ中継は欠かせないパートナーだったはずだ。

「テレビ離れが進む中、各局とも数字に対してシビアになっている。かつてのW杯予選はギリギリの戦いだったこともあり強烈な盛り上がりを見せた。国中を巻き込みテレビでも確実に数字が見込めるコンテンツだった。しかし、W杯出場の常連国になった一方で、本大会で勝ち上がるのは難しい今、日本代表の人気は右肩下がり。オリンピック同様4年に1度のお祭りとして盛り上がるW杯本大会以外はテレビ中継がなくなるのは必然の流れ」(在京テレビ局関係者)

 このトレンドはサッカーだけではなく他競技にも広がっている中、野球中継も新たな時代を迎えている。パ・リーグは収入源の確保のため、07年に6球団の共同出資でPLM(パシフィックリーグマーケティング)を立ち上げた。12年に開設された配信サイト『パ・リーグtv』は大人気コンテンツとなり、設立から年間の売り上げは約30倍にもなるなど、今や野球中継もテレビではなく、ネットで見るコンテンツとなりつつある。

 セ・リーグでは巨人が19年からDAZNと主催試合の配信を含む包括提携契約を結んだ。当初は単年での契約だったが昨年、新たに5年契約に延長し直したと発表された。親会社である読売グループの日本テレビ系列テレビ中継で独占されていた巨人戦もネット配信の時代に移り始めた。

「DAZNとしては最終的にNPBとの一括契約を望んでいるはずです。現在は広島の主催試合など配信できない試合もある。オープン戦、CS(クライマックスシリーズ)、日本シリーズそしてWBC、日米野球まで、プロ野球関連の全コンテンツを手にすることで野球ファンの総取りを狙っているはず。その先には高校野球など、アマチュアも念頭にあるのではないでしょうか」(大手広告代理店関係者)

 DAZNとの契約によってNPB、各リーグ、球団は高額の放映権料を得ることができる。DAZNとしても契約者から毎月、定額の視聴料金が入ってくる。そして契約者はスポーツが好きな層という明確なマーケティングができるので広告収入も見込める。両者にとっては良いことだらけの契約。スポーツ以外の多くのコンテンツを扱うテレビ局から、DAZNなどスポーツ専門企業へシフトするのは当然の流れかもしれない。

「地上波スポーツ中継は年々、バラエティ路線に走っており不評を買うことも多かった。スポーツ好きにとっては集中して観戦できるので良いこと尽くしの時代になったと言えます。しかし一見さんやライトな層がお金を払ってまでスポーツ配信を見ることは考えられない。各競技のコア化が進んでしまい新規ファン獲得の阻害につながる危険性もあります。東京五輪も地上波で放送したことでマイナー競技にも多くの注目が集まったのは記憶に新しい」(在京テレビ局関係者)


(以下略、続きはソースでご確認下さい)