さらに攻撃陣では実績のある江坂が前線で新たなアクセントになっており、今後のさらなる攻撃力アップも期待できる。「改革元年」と宣言した昨季はサポーターの期待を裏切ったが、今季から指揮を執るリカルド・ロドリゲス監督の下、チームは間違いなくポジティブな方向に進んでいる。残り試合数を考えると優勝は難しいが、3位に入ることができれば、来季は開幕から堂々と頂点を狙える存在と言えるだろう。

 現在2位の横浜FMは、3トップの中央でエースに君臨していたオナイウ阿道が海外移籍し、代わりにFW杉本健勇、宮市亮を獲得した。しかし、浦和で結果を残せなかった杉本に大きな期待は寄せられず。高校卒業後からすぐに欧州クラブでプレーしていた宮市はコンディションも含めて未知数で、9月5日に若手育成の場であるエリートリーグに先発出場したが前半終了間際に2枚のイエローカードを受けて退場処分となるホロ苦いデビューとなった。幸い、セルティックに引き抜かれたポステコグルー監督に代わる新指揮官マスカットの評判が上々。夏の新戦力に頼るよりは、新エースとして期待される前田大然を中心に現有戦力を再整理し、今季の逆転優勝へと突き進みたいところ。勝つことで自信が深まり、再び盟主の座に就くことも可能になる。

 浦和と並び、効果的な夏の補強を行なったと言えるのが、最前線と最終ラインに助っ人を加えた名古屋だ。28歳のポーランド代表FWシュヴィルツォクは、交代出場でJリーグ3試合目となった8月22日の福岡戦で、素早いターンから右足を鋭く振り抜いてファーサイドへ突き刺す“ゴラッソ”を決めて「月間ベストゴール」を受賞。その得点だけでなく、最前線で“強さ”を見せて1トップとして存在感を発揮している。そしてDFキム・ミンテは高い適応力で不安定だった守備陣を整え、デビュー戦となった8月15日の湘南戦ではCKから決勝ゴールも決める“救世主っぷり”。この2選手の活躍もあり、チームは最近5試合を4勝1分と結果を残して現在、勝点50の4位。足りなかったピースを手に入れたことで、来季以降にも期待を持てるチームになっている。