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 歌手で俳優のジェリー藤尾(本名・藤尾薫紀=しげき)さんが14日午前4時52分、COPD(慢性閉塞性肺疾患)を起因とする急性肺炎のため、横浜市内の次女夫妻の自宅で死去した。81歳だった。日本歌手協会が14日、マスコミ各社にファクスを送り、発表した。通夜、葬儀は近親者のみで執り行う。お別れの会は今後検討するという。

 中国・上海で元NHKアナウンサーの父・藤尾薫宏さんとイギリス国籍の母の間に生まれた。終戦後の46年に帰国し、バンドボーイとして米軍キャンプを回りはじめた。新宿のジャズ喫茶に飛び入りで歌っていたところを水原弘さん(享年42)に見込まれ、歌手の道へ。61年にデビューし、同年のNHK紅白歌合戦に初出場した。62年、NHK人気バラエティー番組「夢であいましょう」の「今月のうた」に採用された「遠くへ行きたい」が大ヒットした。俳優としても59年の映画「檻の中の野郎たち」や黒澤明監督の「用心棒」などに出演した。

 私生活では64年、元歌手・渡辺友子さんと3年間の交際を経て結婚し、2女をもうけた。「おしどり夫婦」「仲良し家族」というイメージが確立され順風満帆に見えたが、86年に離婚。土地や家屋の分与を巡って訴訟となり、91年の6度目の調停にしてようやく和解。藤尾さんが自宅の地価算出35%を現金で支払うことで決定したが、98年前妻への慰謝料に充てるための約2億円の慰謝料が払えず、自己破産。一連の泥沼離婚でワイドショーなどをにぎわせた。

 晩年は老人ホームを拠点とし、リサイタルなどを開催。19年から20年に放送されたテレビ朝日系「やすらぎの刻〜道」で15年ぶりにテレビドラマに出演。今年元日に放送された「日本歌手協会歌謡祭」が最後の出演となった。

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