「うつ病に悩んでいた」「しばらくコートから離れる」といった衝撃の告白で全仏オープンを棄権し、続く全英オープンも欠場。宣言通り、表舞台から離れていた大坂なおみ選手(23才)が、久しぶりに公の舞台に上がった。米テレビ局主催の、スポーツ界での活躍を表彰する授賞式が7月11日(日本時間)に開かれた。最優秀女子アスリートに選出された大坂選手はドレスアップをし、満面の笑みを見せたのだ。

 この期間、大坂選手は、“コート外”での活動は続けていた。

「『VOGUE JAPAN』8月号の表紙で水着姿を披露し、7月8日には米『TIME』誌(電子版)でメンタルヘルスについての手記が公開されました。さらに、7月16日にはNetflixで大坂選手に密着したドキュメンタリーが配信開始されるなど、目まぐるしい活躍を見せています」(スポーツライター)

 しかし、肝心のテニス界からは心配のコメントが寄せられている。レジェンド、ジョン・マッケンロー氏(62才)は、燃え尽きたことを理由に26才で引退した元男子世界ランク1位のビヨン・ボルグ氏(65才)を例に挙げてこう語った。

《今の大坂は、彼と似たようなことを感じているのではないか。(中略)大坂がテニスを続けられなくなる危険性もある》

 ラケットを持つことを拒む大坂選手に、テニス界の重鎮は「引退」の二文字を指摘した。

 テニス界全体が彼女の次の言動に注目する中、7月6日、大坂選手は《日本代表として、出場できることに誇りを持っております。(中略)オリンピックは、全力を尽くします》と、五輪出場のコメントを発表したのだ。これで大坂選手の完全復活とするのは時期尚早だ、とみるのはテニスジャーナリストの塚越亘さんだ。

「ほかの競技と比べると、テニスプレーヤーにとって、五輪はそれほど重要ではありません。賞金は出ないし、現在は世界ランクを争うツアー中だからです。しかし、大坂選手にとって日本は生まれ故郷であり、大好きなお母さんの祖国でもあります。自分のためというより“家族のためにも金メダルを目指したい”、そんな純粋な気持ちなのでしょう」

 それだけに塚越さんは東京五輪を最後に大坂選手は引退の可能性があると続ける。

「彼女は天性の才能と体格に恵まれ、瞬く間にトップに立った印象があります。そのためか良くも悪くもテニスに対する執着心が薄いところがあります。全仏の記者会見の一件で、全仏、全英と連続で四大大会を欠場したこともそういったところでしょう。世界ランク1位を取ると目標を失いモチベーションを保つのが難しいですし、ほかの選手より『引退』という選択肢は近いところにある気がします」

 一生に一度あるかないかの母国開催の五輪に向け、大坂選手は、練習拠点のアメリカで練習を再開した。五輪直前に帰国して試合に臨むプランを選んだという。いま、彼女の脳裏には「これが最後の舞台」という思いがよぎっているのだろうか。精神科医の片田珠美さんは、大坂選手の精神状態をこう分析する。

「大坂選手は『新型うつ病』の可能性が高いと思います。若い女性に多いのですが、好きなことやうれしいことをやっているときは元気で明るくなるのに、仕事など嫌なことになると落ち込む『気分反応性』が認められます。

 大坂選手は、“2018年の全米オープン優勝後にうつ病を発症した”と告白していますが、目標を達成した後にうつ病になることは少なくありません。五輪が、大坂選手の精神状態に影響を与えることは充分に考えられますね」

 五輪後も、一日でも長く、コート上に咲く“なおみスマイル”を見続けられることを期待したい。

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