4/6(火) 6:00配信 日経ビジネス
https://news.yahoo.co.jp/articles/d9220f38b8cadc7394990372289fde2f5a4b7090

アメリカの主要メディア・コングロマリットはストリーミング市場に相次ぎ参入し、「ストリーミング・ウォー」の様相を呈し始めている。ハリウッドの映画界やエンターテインメントのみならず、スポーツやニュース番組も巻き込む、メディア業界の一大トレンドだという。ネットフリックスの加入者は世界で2億人、Disney+(ディズニープラス)も1年半で1億人を突破した。このたび『ネットフリックス vs. ディズニー』(日本経済新聞出版)を執筆した大原通郎氏に最新事情を聞いた。


―本書のテーマは、ストリーミング配信(インターネットを使った動画や音声配信)です。特にネットフリックスとディズニーを大きなプレーヤーとして描いていますが、現在、この両社はどんな状況ですか?

大原通郎氏(以下、大原氏):3月9日にウォルト・ディズニーが、同社のストリーミングサービスである、ディズニープラスの加入者を発表したのですが、全世界で1億人を突破しました。2019年11月に開始したので、1年半足らずの間に1億人に達したことになります。月額は7ドルなので、毎月7億ドルが入る計算です。

 一方、ネットフリックスは1月初めに世界の加入者が2億人を突破しました。ネットフリックスのストリーミング開始は07年、1億人到達は17年なので、10年かかっています。勢いからするとディズニーに軍配が上がります。

―ディズニーの追い上げがすごいですね。

大原氏:ディズニーが本気を出したことは、ストリーミングビジネスに大きなインパクトがあると思います。加入者に勢いがあるのはアジアとりわけインドなんだそうです。

 インドには、ホットスターというストリーミング配信の会社があり、ディズニーの傘下です。ホットスターは、もともと21世紀フォックスが持っていましたが、21世紀フォックスをディズニーが買収したため、ディズニーのものとなりました。インドの人口は13億人と規模では世界第2の映像市場です。ホットスターの加入者は現在1億人となっています。

●インド市場で両者が激突

―すると、ディズニープラス加入者の今後の成長センターはインドということですか?

大原氏:はい。20年4月からはディズニープラスとホットスターの合わせ技でサービスを展開するようになりました。今回、具体的な数字を出していませんが、これからもインドはディズニープラスの加入者増に大いに貢献するといわれています。 

 今年初め、アメリカデジタルTVリサーチという調査会社が、ストリーミング市場に関して将来予測を出しています。

 まず、26年までの5年間にストリーミング市場はさらに拡大する。サービス別に見ると、ディズニープラスの伸びが一番大きく、26年時点で2億9400万人。これに対し、ネットフリックスはこの時点で2億8600万人と5年後にディズニープラスに抜き去られるという結果を出しています。

―逆転しますね。

大原氏:はい。要因はやはりインド市場の攻防です。ほかの調査会社も、ディズニープラスの勢いが上回ると予測しています。ですから今後5年間で、ネットフリックスは追い抜かれる可能性が高い。

―ネットフリックスはD2C(Direct To Consumer)をうまく使い、それを武器に成長してきたとのことですが、その面では、同社になお優位性があるのではないですか。

大原氏:実は、ディズニーも同じことを始めています。増えていく会員の嗜好情報を収集し、レコメンデーションのDMを送ったりしています。ネットフリックスのデータ分析のレベルまで追いついているかは分かりませんが、少なくとも始めていて、専門スタッフもたくさん雇用しています。

 それから、何といってもディズニーの強みはコンテンツです。例えば、『スター・ウォーズ』のルーカスフィルム、これもディズニーの傘下。『スター・ウォーズ』シリーズは3年から5年置きに新作が出て、そのたびに世界の注目を集めます。

 劇場公開と同時にストリーミングで配信すれば、みんな見たくなります。マーベルの『アベンジャーズ』シリーズや『ワンダヴィジョン』もキラーコンテンツです。さらにウォルト・ディズニーの『アナと雪の女王』とか、最近でも新しいアニメ作品が次々と出てきています。

 コロナで映画館を再開できない地域もあり、ストリーミングの先行配信を決めれば、加入者が増える要因になります。


(以下略、続きはソースでご確認下さい)