コロナ禍による損失が、具体的な数字として出てきた。

 人気球団の広島が2020年の決算で実に46年ぶりに赤字に転落したという。地元紙の中国新聞によると売上高は前年から約83億円減の約86億円。当期損失は約29億円だった。

 コロナ禍の影響をモロに受けた格好だ。開幕が約3カ月延期となった昨季のプロ野球は143試合から120試合に減少。当初は無観客開催で、その後も入場制限が課された。広島の入場料収入は前年の約58億円から約71%減となる約17億円。ファンから好評を得ているグッズの売り上げでさえ、約23億円減の約14億円と大幅減となった。

 広島はリーグ3連覇を達成した16〜18年の売上高は180億円を超えていた。19年は公式戦全試合の指定席券が発売からわずか2日で完売するなど、高い人気を誇る。入場料収入が大きなウエートを占めているだけに、損失がさらに膨らんだようだ。

「カープは周りからいくらシブチンと言われようが、堅実な経営を重視してきた。チームの成績や観客動員数にかかわらず、必ず黒字にしてきただけに、衝撃度は大きい」と、球界関係者がこう続ける。

「巨人は50億円ともいわれる損失を被ったといわれ、楽天はチケット収入が前年から約7割減ったこともあり、数十億円規模の赤字。売り上げが前年比の6割程度という球団がいくつかあると聞いています。ただ、かといって昨オフの契約更改で年俸が大幅に減ったわけでもありません。選手契約において、コロナのようないわゆる『不測の事態』が起きた時に、年俸をカットできるという決まりがない。ソフトバンクや楽天は、新たな契約のルール作りを主張し続けています」

■入場料収入に頼らないビジネスモデル導入に躍起だが

 今年も損失がさらに膨らむのは必至だ。今のところ今季は通常通り、143試合が開催される予定だが、現状でも観客動員の上限が設定されている。関東の1都3県を本拠地とする巨人などの在京球団は上限1万人。緊急事態宣言の対象とならなかった北海道の日本ハムは2万人、広島と宮城の楽天は定員の50%までとしている。

 政府は1都3県について、来月19日以降にイベントの人数制限を定員の50%に緩和したい考えのようだが、「今夏の東京五輪では、国内に限定された観客を50%に制限する案が検討されている。7月までは最大でも半分までしか入れられないことを覚悟しておかないといけない」とは、在京球団の関係者だ。

 各球団は入場料収入に頼らないビジネスモデルの導入に躍起になっているが、このオフ、プロ野球界にかつてない「嵐」が吹き荒れても、不思議ではない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1c883d95342d4a27d75615a5a5ff876d6d63f345
3/26(金) 11:35配信