2020年は退所騒動と不祥事ばかり
写真:現代ビジネス

 16日昼ごろ、大みそかに放送される『第71回NHK紅白歌合戦』の出場歌手が発表され、初出場の9組を含む白組21組、紅組20組の計41組が名を連ねた。

 なかでも目立ったのは、ジャニーズ事務所のアイドルたち。年内いっぱいでの活動休止を発表している嵐(12回目)のほか、関ジャニ∞(9回目)、Hay!  Say!  JUMP(4回目)、King & Prince(3回目)、Kis-My-Ft2(2回目)、SixTONES(初)、Snow Man(初)の7組が出場し、「白組の3組に1組がジャニーズ」という例年以上の出演ラッシュとなった。

 また、嵐は大みそか当日、生配信ライブが予定されており、同番組には中継での出演が有力視されている。

 NHKが盛り上がりと視聴率獲得の意味であてにしていたであろう、「嵐が大トリを飾る」というシーンは実現しないことが濃厚となった。大泉洋に決定した白組司会もしかりであり、NHKの落胆ぶりは想像に難くない。

 ……にもかかわらず、「初出場の2組を含む7組を送り込めたのだから、ジャニーズ事務所にとって思い通りになった」のではないか。

 同日深夜、ジャニーズ事務所の近藤真彦が、一部週刊誌で報じられた不倫報道を認め、活動自粛を発表。第一報からの約1週間、ほとんど報じてこなかった民放各局の情報番組は朝から一斉にこれを報じた。

 しかも『とくダネ! 』(フジテレビ系)の小倉智昭が「ここまでする必要があるのかどうか」、『スッキリ』(日本テレビ系)の加藤浩次が「ファンが集まるライブ活動とかは自粛する必要があるのかな」、その他も「マッチは色気がある」「男気もある」などの擁護モード一色。民放各局の忖度に続く、あからさまな擁護を見た人々は、ネット上に怒りを取り越してあきれたという声を挙げている。

 今年ジャニーズ事務所は、中居正広、手越祐也、山下智久らが退社し、長瀬智也、錦織一清、植草克秀も退所予定を発表。さらに、手越が非常事態宣言時に女性を伴う飲食、山下と亀梨和也が未成年と飲酒、山下はその女性とホテルに宿泊、近藤は長年に渡る不倫、ジャニーズJr.にも闇スロット通いやホテルデートなどが報じられた。

 つまり、ジャニーズにとっては退所と不祥事の報道だらけの一年であり、一部メディアから弱体化を指摘される状態。であるにもかかわらず、なぜNHKも民放各局も、ジャニーズ事務所の思い通りに動かされてしまうのか? 

圧力はなくても忖度する単純な理由
 まず、もはや視聴者の誰もが疑念を抱いている「ジャニーズ事務所への忖度があるのか」について。

 『スッキリ』の加藤浩次は、「週刊誌をそのままやることはできない。『ジャニーズ事務所の裏とか、近藤真彦さんのコメントを出した上でやる』ということ」と忖度を真っ向否定した。しかし、「週刊誌発売当日にそのまま採り上げる」というケースのほうが多いことは、『スッキリ』を熱心に見ている人ほどよく知っていて釈明になっていない。

 一方、『グッとラック! 』(TBS系)の立川志らくは、「ジャニーズ事務所に対する忖度をよく言われるんだけど、芸能界の裏まではよく知らない」と明言を避けた。ジャニーズ事務所への忖度が公然化しつつある今、まるごとスルーしてしまうのはリスクが大きいだけに、志らくのように濁すケースが増えている。しかし、知らなければ調べて伝えるのが情報番組の役目だけに「逃げた」と言われても仕方がないだろう。

 各局に取材や出演で訪れ、関係者と会話を交わしている筆者から言わせれば、忖度がないわけがない。テレビ局に限らずどの企業も主要取引先には何らかの便宜をはかっているものであり、ジャニーズ事務所への忖度は現在でも存在している。

 ただ、それは「テレビ局側にもメリットが見込める」からであり、裏を返せば「忖度しなければデメリットを被るリスクが高い」ということ。テレビ局員に加えてテレビ誌やスポーツ新聞の記者に聞いても、「公正取引委員会の目が光る今、ジャニーズから直接的な圧力をかけられることはない」と断言していた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ac413e43a9f687e270b7901d3d3441e4eec07167?page=1
https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20201119-00077407-gendaibiz-000-4-view.jpg