米大統領選は6日、民主党のバイデン前副大統領(77)が政権奪還へ勢いを加速した。

 郵便投票の集計に伴い得票を伸ばし、当選に必要な選挙人の過半数獲得が目前。5日には東部デラウェア州で国民に向けて演説し「投票は神聖なものだ。有権者の意思のみが大統領を選び得る」と強調した。

 バイデン、トランプ両氏が激しく争う今回の大統領選は、著名芸能人の間で“バイデン支持”が多いのが特徴。

 俳優のブラッド・ピット(56)は選挙CMのナレーションを担当。歌手のマドンナ(62)はツイッターでバイデン氏のハッシュタグ(検索目印)を付けて「責任を果たそう」と投票を呼び掛けた。レディー・ガガ(34)は選挙戦最終日の2日、激戦州ペンシルベニア州での集会に駆けつけ「正しい選択」を訴えた。会員制交流サイト(SNS)で多くのフォロワーを持つ著名人の発信力は絶大で、投票に一定の影響を与えたと言えそうだ。

 多くの支持を集めた要因の一つとされるのが、派手なパフォーマンスで支持者を扇動してきたトランプ氏と対極をなすような実直な人柄。それには家族の相次ぐ死などが大きく関係している。

 上院選に初当選し30歳の誕生日を迎えた直後の1972年12月、クリスマスツリーを買いに出掛けた最初の妻ネイリアさんと1歳だった長女ナオミさんを交通事故で亡くした。同乗していた当時4歳の長男ボーさんと2歳の次男ハンターさんが入院していた病院のベッドの脇で宣誓に臨んだ。

 悲劇はこれで終わらなかった。地元デラウェア州の司法長官を務めたボーさんが2015年5月、脳腫瘍で死亡。オバマ政権の副大統領で大統領選への出馬を検討していたが、断念した。

 一方、子供のころは吃音(きつおん)症に悩まされた。忘れられない教室でのつらい思い。鏡を見て話す練習を繰り返す日々を過ごし、克服していった。

 トランプ政権下で分断がより深まった末の大統領選。著名人らの間で、家族を失い人の痛みを知るバイデン氏に、国を一つにまとめていくリーダー像を求める思いが醸成されていったようだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/226b592ae94454dccd1c49e1906ee10a78a6b275
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