陸上の横浜DeNAランニングクラブ(DeNA)が今後、活動を大幅縮小させる見込みであることが30日、分かった。
今季、選手7人体制でスタートしたが、現時点で、事実上、残っている選手は2人だけ。来季以降、国近友昭監督(47)の去就や後任人事も不透明な情勢となっている。

DeNAが創部8年目にして大きな転機を迎えた。DeNAはエスビー食品陸上部のスタッフと選手を受け入れる形で、2013年にスタートを切った。

DeNAの前身にあたるエスビー食品はマラソン15戦10勝を誇る瀬古利彦(現日本陸連長距離・マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)をはじめ、
1980年モスクワ五輪、84年ロス五輪、88年ソウル五輪と3大会連続で日本代表となった新宅雅也ら多くの名ランナーを擁し、マラソンと駅伝で日本トップクラスの強豪だった。

全日本実業団駅伝では84年から4連覇を達成した。しかし、経営悪化などの理由で2012年9月に13年3月末での廃部を発表。その受け皿となったのがDeNAで、
世界大会の代表選手の育成と2016年全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)での優勝を目標に掲げ、発足した。

翌14年のニューイヤー駅伝に早くも初参戦し、16年には5位と躍進した。しかし、その後、チーム方針が転換され、2018年10月には駅伝からの撤退を発表した。チームの活動規模も徐々に縮小されていった。

今季は17、18年日本選手権1500メートル覇者で箱根駅伝6区区間記録保持者の館沢亨次(23)を筆頭に鬼塚翔太(23)、松尾淳之介(23)と東海大から3人の有力ルーキーが加入したが、
館沢はコーチングとマネジメントに関して800メートル元日本記録保持者の横田真人氏が代表を務めるTWOLAPSと業務委託契約を締結。
鬼塚は男子マラソン日本記録保持者の大迫傑(29)=ナイキ=らを指導するピート・ジュリアン氏とコーチング契約を結び、いずれもDeNA指導陣とは一線を画して競技活動を行っている。

ベテラン勢は相次いでチームを離脱。高木登志夫(27)が20日付けで退団し、サンベルクスに移籍した。
永井秀篤(27)は東日本実業団連盟の所属選手として全日本実業団選手権(18〜20日)に出場しており、今年度限りの退団が濃厚とされている。

また、ケニア出身のデービッド・グレ(22)も4月に退団し、GMOインターネットグループに移籍した。

現状、チームで活動する選手は湊谷春紀(24)と松尾のわずか2人だけで、来季、新人が加入する予定もない。さらに国近監督の去就も微妙な情勢で、来季は監督不在という異例の事態となることもあり得るという。
複数の実業団チーム関係者は「DeNA側から選手の受け入れについて打診を受けたことがある」と明かす。近い将来、トップ選手はいなくなる可能性は否定できない。

名門エスビー食品の“DNA”を受け継いだDeNAが日本陸上界の表舞台から去ることになりそうだ。


10/1(木) 5:00配信 スポーツ報知
https://news.yahoo.co.jp/articles/c0feae9d6b07783b0a8c533717c676a8c76cd454

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