コロナ禍において、感染者や営業する店に対する誹謗中傷や差別が相次いでいる。過度なバッシングやデマもみられ、自治体が「冷静な行動をお願いします」と呼びかけるまでに発展している。

こうした状況に、お笑い芸人のスマイリーキクチさんは「人を傷つけることにネットを使うというのは、ずっと変わらないんだな」と胸を痛めている。

キクチさんも1999年のある日、突然、無関係の殺人事件の犯人とされ、それから10年以上ネットの誹謗中傷に悩まされてきた。

「自分の感情だけで悪を決めつけず、一回立ち止まることが大事。言葉は時に犯罪になるということをわかって欲しい」。そう訴えるキクチさんに、コロナ禍での誹謗中傷をどうみているか、話を聞いた。

●コロナより「人間が一番怖い」
相次ぐ感染者への誹謗中傷。キクチさんは「新型コロナウイルスは、人間の本性をむき出しにした」と切り出した。

「感染者の行動に対して怒りを覚えるだけで終わらず、『こいつを懲らしめよう』『社会的制裁を加えてやろう』と特定して個人情報を晒しあげる。その人がどういう人間かを鏡で映し出すようなウイルスだと感じます。

ネットでは『許せない』という気持ちが、ダイレクトに言葉で伝えられる。怒りが集合体になった時に、集団は凶暴化します。歯止めが効かない分、止めてくれる人もいない。コロナが教えてくれたのは、人間が一番怖いと言うことです」

この数年、事件や災害のたびに、同じような誹謗中傷やデマが繰り返されていることも気がかりでいる。

「2018年6月の一家4人が乗車していた『東名高速夫婦死亡事故』では、全く関係のない建設会社が被疑者の勤務先とされました。

2019年夏の常磐自動車道『あおり運転殴打事件』には、あおり運転の被疑者の女性に似ていると言うだけで、『ガラケー女』と誹謗中傷を受けた女性がいて、大変話題になりましたよね。

それもすぐに忘れられ、同じようなことが繰り返されている。ネットの中傷被害について、長年、講演活動をしていますが、ネットとの付き合い方がなかなか伝わらないのだと悔しくもあります」

つづく

2020年5月23日 8時11分
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