新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の発令により、サッカーJリーグ、セレッソ大阪の新たな本拠地となる「桜スタジアム」(大阪市東住吉区)改修のための募金活動が停滞している。メインスタンドなどの工事は既に始まっており、来年3月末に完工予定。募金の受付期間も来年3月までと限られているが、関係者は「コロナの影響が大きい今のタイミングでは、どうしようもない」と嘆いている。

 桜スタジアムは、もともとあった大阪市所有の長居球技場(旧キンチョウスタジアム)を改修。新たにメインスタンドを整備するなどし、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)開催基準などを満たした、収容人数約2万5000人の球技専用スタジアムに生まれ変わらせる。タッチラインから観客席最前列までの距離は約6メートル。ライバルチーム、ガンバ大阪の本拠地、パナソニックスタジアム吹田(大阪府吹田市)の約7メートルを上回る臨場感が特徴だ。

 改修費用の目標額約66億円は、世界初の募金によるスタジアム建設だったパナソニックスタジアム吹田と同様の手法で捻出。2016年に桜スタジアム建設募金団体を設置し、企業やサポーターらから広く寄付を募ってきた。募金期間は1年ごとに延長し、第4期に入った今年4月1日現在で法人から約32億4700万円、個人から約2億1300万円が集まっている。目標額達成には、この1年で約31億3900万円を募る必要がある。

 しかし、コロナ禍で状況が一変。緊急事態宣言の発令や休業要請が追い打ちをかけ、外出自粛により担当者が直接出向いての募金活動も行えなくなった。「新たな寄付はピタッと止まっている。しかし、このタイミングで、寄付をお願いしに企業回りをしても、『何しにきてんねん』となりかねない。今は動けない」と関係者。Jリーグの試合自体が延期となる中、希望者に工事の進捗(しんちょく)状況を披露する視察会も中止せざるを得なかった。

 緊急事態宣言はゴールデンウイーク後も延長される公算が大きくなっているが、関係者は「コロナ禍が収束に向かってから、なんとか巻き返したい」と話している。

https://www.sankei.com/smp/west/news/200501/wst2005010031-s1.html