新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、テレビ各局が窮地に追い込まれている。

報道や情報系の番組はあの手この手で収録を続けるが、ドラマやバラエティーは収録中止に踏み切らざるを得なくなった。
政府による緊急事態宣言発令も重くのしかかり、制作が止まるという異常事態が長引けば、現場にさらに深刻な影響が広がることも懸念されている。

八日朝放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」。いつもはコメンテーターが居並ぶ席にいたのは、局員の玉川徹さんだけ。
水曜担当の浜田敬子・ビジネスインサイダージャパン編集長は別室からの中継で出演した。

TBS系「NEWS23」も、小川彩佳キャスターが一日の放送から、スタジオ外からニュースを伝えている。

外出自粛や異常事態への不安感から、報道・情報番組の視聴率は軒並み高まっている。
各番組は感染防止のため人と人との距離を取る「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」を意識しながら、なんとか情報発信を続けようと腐心している。

一方、ドラマやバラエティーは「不特定多数の方々と接触したり、大人数が集まったりするケースが多い」(TBS広報部)ため、
各局は何らかの形で当面の収録を休止する措置を取った。地上波で四月スタートの新ドラマは放送延期が目立ち、先が見通せない。

バラエティーも同様だ。海外ロケが持ち味の日テレ系人気番組「世界の果てまでイッテQ!」は、
三月二十三日の社長定例記者会見の時点では「海外撮影分がなくなれば、国内ロケに切り替える」としていたが、それも厳しくなってきた。

元テレ朝プロデューサーで、上智大非常勤講師の鎮目博道さんは「(番組制作者の間では)タレントの感染事例が多かったことがショックを持って受け止められている。
もし自分の番組で感染させてしまったらと思うと、少し休止したくらいではどうしようもないのでは、という諦めの空気が漂っている」と明かす。

放送延期で空いた枠は、再放送や総集編などが予定されているが「新たな番組を作らないのは番組制作会社の収入が途絶えることとイコール。
零細が多いため、倒産する会社が出てくるのは目に見えている」と、このままの事態が続くことを危ぶむ。

「コロナが終息しても、その時には作り手がおらず面白い番組が作れなくなってしまうのでは」

一方で、「日本のテレビマンは、安い制作費や人手不足などマイナス要因を逆手にとって面白い番組を作ってきた。
なんとか制作さえ続けられれば、新しい番組作りのやり方が出てくる可能性はある」と希望も語った。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2020041102000193.html