――近年最も注目を集めた試合としては、2018年大晦日にフロイド・メイウェザーJr.×那須川天心がありましたが、どう見ましたか?

朝倉 あれはメイウェザーのひとり勝ちっていう感じですかね。

――もしメイウェザー戦のオファーがあったら受けますか?

朝倉 ボクシングルールですか?

――ええ。

朝倉 やらないですね。総合格闘家としての僕を応援してくれているファンを幻滅させてしまうと思うから。総合格闘技のルールならやります。

――K−1やPRIDEが全盛の頃は、例えば曙×ボブ・サップ戦のような変化球を投げることで世間の注目を集めていた。ある意味、メイウェザー×天心もそうだったと思うんです。

朝倉 そういう点ではいいと思います。だけど、どっちかが不利な状況でやるのはダメだと思います。

――話題性のあるカードで注目を集めるという従来のビジネスモデルとは違って、朝倉選手はYouTubeで裾野を広げ、新しいお客さんを集めています。

朝倉 そこは時代の変化が大きいと思う。格闘技ブームといわれた当時はまだSNSがほとんど機能していなくて、テレビが一番だった。
だから生放送でなくてもよかったけど、今は結果やフィニッシュシーンの動画がすぐにSNSで広まってしまう。
そうなるとわざわざ生放送ではない地上波の中継を見る必要がなくなる。それも(視聴率が低い理由に)あると思います。

――なるほど......。

朝倉 だったらSNSで有名になったほうが視聴率にも結びつくのかな、というのが現代的な考え方だと思う。

僕がYouTubeで街のケンカ自慢とスパーリングをすると炎上する。
僕的には炎上商法を使ったんですけど、なかには「試合で勝てないからそんなことをしているんだろ」というコメントもある。
そういったネガティブなコメントも、興味を持ってくれている証拠だから、炎上商法は成功したのかなと。
実際、今は僕が一番RIZINの存在を広めているんじゃないですかね。

――例えば、朝倉選手より体がずっと大きい女子格闘家のギャビ・ガルシアと試合してほしいというオファーがあったら受けますか?

朝倉 やらないです。カッコ悪いので。勝っても損する試合はしないです。
僕は、自分が損をしない選択をしていく。試合を見ていただいてもそうだと思うんですけど、成功するやり方というよりは、すべてにおいて失敗しないやり方を選んでいる。だから慎重だと思います。

――なるほど。では、五味隆典選手や青木真也選手といったレジェンドとの対戦はどうですか?

朝倉 どうなんでしょうね? わからない。そのときの自分の気分次第ですけど、やりたくない試合は、僕はやらないって言うし。
誰に言われてもやりたくないものはやらないので。そこはブレない。
現状として、青木選手も五味選手も階級が上(ライト級)じゃないですか。
僕は(フェザー級なので)昨年のライト級GPにも出なかったわけだから、やらないですね。

――RIZINフェザー級GPが開催されたら参戦しますか?

朝倉 ありえますね、十分。

――もうひとつ、UFCについてはどう考えていますか?

朝倉 どうなんでしょうね。現役を辞めるって決めたら狙いたいかもしれない。
あと1年間、本気で格闘技に集中して自分の限界を確かめたいとか、そういうモチベーションが湧いてくればあるかもしれないですね。