2019年の国内映画興行収入(興収)の総額が、「君の名は。」が社会現象化した16年の2355億円を上回り、過去最高の2550億円に達する見通しであることが31日、分かった。「天気の子」を筆頭に「アラジン」「トイ・ストーリー4」と9年ぶりに3作が100億円を超えた。埼玉県内だけで10億円を超えた「翔んで埼玉」やSNSで話題を呼んだ「すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」のような異色のヒット作も生まれた。

 大豊作となった19年の映画界。興収50億円を超えた作品は11本。その中から3本が100億円以上を記録した。さらに、公開中の「アナと雪の女王2」が現在、83億円で最終的には100億円突破が有力視されている。

 「天気の子」を配給した東宝の中山正樹宣伝室長は「1年間を通してシンプルに強い作品がそろっていた」と分析。「例年であれば、閑散期といわれる6月に『アラジン』、10月にも『ジョーカー』が公開され、年間を通して途切れることなく、大ヒット作が続いた」と振り返った。

 ヒット作の連鎖で相乗効果が生まれた。「映画館に人が集まれば、次に公開される映画の予告編やポスター等の宣伝に触れる機会が増えます。ヒット作が続いたので、その先に公開される新しい映画の認知度も上がった」と中山氏。「天気の子」に限って言えば、「公開前に試写会を一切行わず、その飢餓感、期待感をうまく創出できたのでは」と推測した。

 「アラジン」「トイ・ストーリー4」「アナと雪の女王2」「ライオン・キング」の4本が興収ベスト10入りしたディズニー作品の好調ぶりも目立つ。映画ジャーナリストの大高宏雄氏は「ディズニーの国内興収は18年が年間で266億円だったのに対し、19年は10月末で424億円に達し、最終的には500億円を超えるでしょう。ディズニーのヒット連発が、過去最高の興収総額となる一番の要因です」と語る。

 19年は多くの映画館で一般料金を1800円から1900年に値上げし、シニアやレディースデーなどの割引料金も100円ほど引き上げた。それでも観客動員数は18年の1億6900万人から大幅に増え、1億9000万人前後と見込まれている。大ヒット作だけではなく、興収37億円のうち埼玉県内だけで10億円を記録した「翔んで埼玉」、SNSで話題を呼び、じわじわと数字を伸ばした「すみっコぐらし―」のような想定外のヒットも見逃せない。

 この活況は続くのか。中山氏は「2020年、特に夏は日本中がオリンピック一色になるでしょう。なので、1年を通してヒット作が生まれるようにすることが大切なのでは」と指摘。「働き方改革がより浸透して、大人の余暇が増えて身近な娯楽である映画を選択してもらうことができれば、さらに映画人口が増える…となるとうれしいですね」と見通しを語った。

 ◆2019年映画興収ランキング

 (1)140億円 天気の子

 (2)121億円 アラジン

 (3)100億円 トイ・ストーリー4

 (4)93億円 名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)

 (5)83億円 アナと雪の女王2

 (6)66億円 ライオン・キング

 (7)61億円 アベンジャーズ/エンドゲーム

 (8)57億円 キングダム

 (9)55億円 ONE PIECE STAMPEDE

 (10)50億円 ドラえもん のび太の月面探査記

1/1(水) 14:41配信 スポーツ報知
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