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TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。11月20日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、スローニュース代表取締役の瀬尾傑さんが“薬物犯罪報道”について見解を述べました。

◆加熱する沢尻エリカ薬物犯罪報道

合成麻薬MDMAの所持容疑で逮捕された女優の沢尻エリカ容疑者が、警視庁の調べに対し、「10年以上前から薬物を使っていた。今までに大麻、MDMA、LSD、コカインを使用していた」と供述していることがわかりました。沢尻容疑者は「有名人が逮捕されるたびに私も危ないんじゃないかと注意していた」とも話しており、警視庁組織犯罪対策5課は長期間に渡り恒常的に薬物を使っていた疑いがあるとみて、入手経路などを調べています。

有名人の薬物事件が起きると、ワイドショーなどでそれに関するニュースが一斉に報道されますが、瀬尾さんは「これはすごく問題が多いと思う」と言います。警察からすれば、こうした有名人の逮捕は「薬物の問題を広く知ってもらうチャンスだということで、やっている面もある」と説明。しかし、「いじわるな言い方をすると、有名人をさらし者にして手柄をあげたいという目的」と瀬尾さんは指摘し、メディアの報道のなかには薬物とは全く関係のないことまで含まれていることを危惧します。

MCの堀潤は、「責任追及もさることながら、立ち直りをどうするかという観点が重要」と意見を述べると、瀬尾さんも同意し「本人の更正だけでなく、今更正しようとしている方のやる気をくじいたり、自分も同じ目に遭うのではと不安に感じたり、更正のチャンスすら阻害する可能性がある」と言います。

◆更正ではなく回復……チャンスはある

世界保健機関(WHO)などは規制薬物の使用そのものの非犯罪化を謳っているそうで、「要するに持っていることは犯罪でなく、売ったりすることは犯罪にするかもしれない」と瀬尾さんは解説。ポルトガルでは2001年にこれを導入し、その後犯罪増加率は変わっていないとか。

瀬尾さん自身はこれに関し、エビデンスを集めるとともに議論の必要性を訴えます。そして、過剰な報道については改めて「観ている人の好奇心は満たすかもしれないけど、社会に対しては何ひとついいことがない」と言及。

評論家の荻上チキさんは専門家の方々と議論し、「薬物報道のガイドライン」を提案しています。そこでは薬物報道でよく見られる「白い粉」や「注射器」のイメージカットは依存症から立ち直ろうとしている方が刺激を受けたりする可能性があると示唆。さらには、薬物依存症であったことが発覚したからといって雇用のチャンスなどを奪ってしまうと立ち直りできないんじゃないかとも。

かつて、“覚せい剤やめますか? それとも人間をやめますか?”といった広告がありましたが、瀬尾さんは「薬物依存になったからといって人間でなくなるわけではない。回復のチャンスはいくらでもある」と言います。そして、重要なこととして「これは依存症なので“更正”ではなく“回復”。その視点から薬物犯罪報道を考えるべき」と主張。

また、再犯率に関しても、「よく65%という言い方をされるが、これは薬物だけでなく窃盗など他の犯罪も含めたもの。薬物だけに絞った再犯率は25%。あたかも薬物は立ち直れないというレッテルが貼られている」と瀬尾さん。「4分の3の方は、立ち直っている。その観点から、より回復できる方を増やしていくことが重要」と訴えていました。

弁護士の三輪記子さんも「薬物に限らず、依存症は処罰や社会的非難よりも治療や受容(社会の有り様)こそ問題解決に繋がる」と言い、「非難すればやめると思っているかもしれないがそうじゃない」と話していました。

11/29(金) 19:21配信 東京MX
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