「本当は現役を辞めたくありません。続けたいと球団や会社に伝えましたが、『契約しない』と戦力外通告され、クビを切られました」

「週刊文春」にそう訴えた元女子プロ野球のA選手は、暗い表情で肩を落とした――。

 11月1日、日本女子プロ野球リーグは、所属選手71人の半数にあたる36人の退団を発表した。

◆◆◆ 中略 ◆◆◆

■こんな事態が起きた原因は“首領さま”

 こんな事態が起きた原因は――。リーグ関係者は「日本女子プロ野球機構の名誉理事を務める、わかさ生活の⻆谷建耀知(けんいち)社長です」と吐き捨てる。

「典型的なワンマンタイプで、周囲が意見するとすぐキレる気分屋なのです」

 今季では、フローラとディオーネが対戦する予定だったが、試合開始の2時間前に社長の意向で、フローラとアストライアの対戦に急遽変更されたという。

「そのくせ、報道を人一倍気にする。以前、スポーツ紙で女子プロ野球選手の年俸が『200万円』と書かれたとき、『誰が言っているんだ! そんなこと言うなら本当にそうするぞ』と激怒していた。今回の更改で月給20万円になったのは、あれが原因じゃないかと選手たちは噂していました」(同前)

 ⻆谷社長の傍若無人ぶりには、前出のスポーツライターもため息をつく。

「選手の移籍も思いのまま。⻆谷社長の意向を受けたスタッフが、突然、理由も説明せずに『あのチームへ移籍してください』と伝えるだけ。⻆谷社長にとって、彼女たちの移籍は、わかさ生活の人事異動に過ぎず、選手や監督、コーチ陣の意向は無視。ファンや選手たちは⻆谷社長を、北朝鮮の独裁体制になぞらえて『首領さま』とあだ名をつけていた」

“首領さま”が、リーグ発足当初から推し進めたのは選手のアイドル路線だった。

「発足3年目の12年に女子プロ野球のアイドルグループ『GPB45』を結成しました。当時はチームが3球団に増えたタイミングで、各球団から15人ずつ選抜され、試合の前後に踊らされていました。グループに所属した全選手にスタイリストやヘアメイクを付けていたが、選手やコーチらスタッフは、野球をしたいのに練習時間を奪われて猛反発。結局、1年で活動は終わりました」(同前)

 こうした路線に拍車をかけたのが、2016年、加藤優の入団だった。

■人気選手が女子高生の制服姿になる“撮影会”も

「加藤自身も入団前から『広告塔として使われることは分かっています』と覚悟していた。18年、19年にツイッターで実施したファン投票『美女9総選挙』は2連覇していますが、内心は『これでいいのか』と苦しんでいたのです」(前出・スポーツ紙記者)

 加藤が所属していた埼玉アストライアの関係者も、こう証言する。

「女子プロ野球の宣伝になればと、選手たちは広報活動やイベントにも参加していた。特に加藤は野球以外で全国を飛び回って練習できず、一番野球をする環境を奪われていた。彼女はバッティングセンターへ通って、バットを振っていた」

 選手たちの思いとは裏腹に野球以外の活動はエスカレート。今年2月のバレンタインには、選手たちが、新聞社の記者にチョコを渡すなど、過剰とも言えるサービスが横行していた。

「9月末に江戸川区球場で行われた『女子プロ野球学園』というイベントでは、試合後に、加藤をはじめ、みなみ選手など人気の6選手が女子高生の制服姿になり、『制服写真撮影会』が行われました。結局、加藤も野球ができない環境を抜け出すために辞めたのです」(別のスポーツ紙記者)

>>2以降に続きます

11/22(金) 18:00配信 文春オンライン
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