チーム運営も任される立場。

ただ、今回は監督だけでなく、GMもセットでのオファー。現場に立ちながら、選手獲得などのチーム編成やスポンサーとのやり取りも兼ねたチーム運営も任される立場を引き受けたのだ。

「大役ですよね。すべての責任が問われる立場。正直、難しいと思います。けれどNPBにいたという経験と、様々な方との繋がりを最大限生かして、NPBの観点を積極的に取り入れて、この大役に立ち向かいたい」

就任を発表した今秋から来年2月までは、GMとしてチーム編成と経営に没頭する。スポンサー獲得、資金調達のため、松中自らが香川を駆け巡る。そしてチーム編成においては新たに15人近くの選手を獲得する構想だ。

「ドラフトも見て、トライアウトの現場にも初めて行く。投手5人、野手7人くらいは欲しい。そして、外国人選手を1人、獲得したい。2月のスプリングトレーニングに実際に行ってメジャーから3A、2Aに落ちてきた選手を獲りに行こうと考えています」

今、最も意識しているのは時間の使い方、自らのタイムマネージメントだと松中は語る。GM業に使う時間と、監督業に使う時間。もしかすると現役時代より、遥かに多忙を極めるオフになるかもしれない。

「いつかNPBの世界で指揮を執りたい」

1年か2年、しっかりと香川で勉強して来い――そう、王貞治会長に背中を押された松中。

「弱かったホークスを強いホークスに変貌させた経験がある。遠くへ飛ばす能力だけを持った僕が、最終的に三冠王にまで辿り着いたアプローチも知っている。

社会人野球の中の下くらいのレベルにある四国アイランドリーグplusをどこまで引き上げられるか。できるだけ多くのNPB選手を輩出し、そして僕もいつかNPBの世界で指揮を執りたい」

野望を語り、ついに動き出した平成のスラッガー。野球人生の第2章の始まりは、香川から。

将来、松中がNPBの指揮官として成功したとき、今の結果があるのは香川での経験があったから――そんな声が、聞こえてくることを願う。