9/29(日) 8:03配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190929-00010001-abema-soci

慰安婦を象徴する少女像などを展示したことに対する脅迫を含めた抗議が殺到し、わずか3日で中止となった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」内の企画展、「表現の不自由展・その後」。

【映像】大村知事を招いての議論の模様

 文化庁は26日、同展に警備上の混乱が予想されることを把握しながら事前に説明がなかったとして、補助金7800万円の全額交付を取りやめることを決定。萩生田光一文部科学大臣は記者団の質問に、「残念ながら文化庁に申請があった内容通りの展示会が実現できていない。また継続できていない部分があるので、これをもって補助金適正化法等を根拠に交付を見送った」と説明した。

 この決定について、あいちトリエンナーレ実行委員会会長でもある大村秀章愛知県知事は怒りを露わにし、「円滑な運営ができないから、そのことについてちゃんと報告しなかったからというだけのことで、この4月25日の採択決定が覆る合理的な理由はないと私は思っている」と主張。さらに「憲法21条の表現の自由を最大の争点として今回、速やかに法的措置、裁判でもって文部科学省の見解をしっかりただしていきたいというふうに思っている」とも述べている。

 しかし菅官房長官は27日、「補助金申請の手続きに関して不当な行為が認められたことによるものであり、展覧会の具体的な内容に関係ないというふうに承知をしている」とコメント。萩生田文科相も「今の問題意識を決して否定するものではなくて、今後そういうことが前例になって大騒ぎすれば展示会をやめられて、そして補助金がもらえなくなるような仕組みにどんどんしていくことはまったく思っていない」とした。

 一連の問題について27日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、大村知事と、企画展に作品を出品した造形作家の中垣克久氏を招き、話を聞いた。

■大村知事「内容が気に食わないから外すということだとしか思えない」

大村知事はこれまでの流れについて詳細に説明した上で、「色々な条件整備をした上で展示を再開できないか、という思いで検証委員会を立ち上げ、一連の事実経過を検証して、整理して頂いた。そして25日には条件を整備し、安心・安全が確保できれば再開を目指すべきだという提言を頂いたので、ハードルは高いかもしれないが、再開のために最善の努力をしたいと申し上げた。その途端、翌日の26日に突如として全額不交付が決定し、いきなり通知を送ってきた。手順が、という理由には無理があるし、やはり中身が良くないから弾くんだ、再開はけしからんというような思惑が入っているのではないか。協議する場はもう裁判しかない。本当に寝耳に水で驚いた。もし内容がいけないというのなら、それは憲法21条が定める表現の自由の侵害に当たると思うので、裁判では文部科学省さん、文化庁さんとしっかり争うというより、その点を質していきたい」とコメント、助成金の7800万円という額についても、「大きい小さいではない。国が芸術祭に対して採択決定をしたにも関わらず、抽象的な理由だけで全額不交付決定をしたことについて合理的な理由がないと言っている。合理的な理由がないのなら、それは内容が気に食わないから外すということだとしか思えない」と強調した。

 さらに「萩生田さんは事実誤認をされておられる。“4月の段階で愛知県職員は知っていて、警備・安全について警察と協議していたのに報告しなかった“と言っておられるが、そのような事実はない。県の事務方が知ったのは5月のことで、通常の芸術祭のための警備等々の相談も常にあった。また、問題になったのは少女像について私が知ったのは6月だったので、直ちに津田芸術監督を通じ“これはなんとかならないか。写真、SNSの投稿は禁止できないか“といったことを申し上げた。ただ、愛知県知事である私は公権力者だ。その私が会期前に“内容に色々問題があるから止めろ“と言ってしまえば、まさに検閲になってしまうので、強い要望、希望は申し上げたが、それ以上は“なんとか警備を“ということで協議をした。もう一つ、昭和天皇と思われる方の肖像画を対象にしたような映像作品も大きな批判の対象になっているが、これは残念ながら事前に県庁の方には教えて頂いていなかった。突然入ってきたということなので、これはまた契約上どうかという別の問題になると思うので、やられた方々、不自由展の実行委員会の皆さんとはしっかり話をしないといけないと思っている。その上で、我々は手順、手続きはしっかりと踏んできたと思っている」とした。