【実録 芸能人はこうして干される】#6

7月18日、女優のん(能年玲奈、26)のマネジメントに携わる、株式会社スピーディの福田淳代表がHPで「テレビ局の若い編成マンから本当にたくさんの素晴らしい企画、脚本などオファを頂きました。
しかし、お話が進むうちに、上司や担当役員によって突然潰されてしまうことが繰り返されてきました」と告白し、話題となった。

のんはどうして干されたのか。

「週刊文春」(2015年5月7・14日合併号)によれば、「あまちゃん」を撮影していた頃から、のんと演技指導を担当する滝沢充子との関係を所属事務所が問題視していたという。
「あまちゃん」がクランクアップした時に「あまちゃん」の公式HPに掲載されたのんの感謝の言葉の中に滝沢の名前が記されていた。これによりのんと事務所の関係が決定的に悪化。

事務所に呼び出されたのんはチーフマネジャーから「玲奈の態度が悪いから、オファーが来ていない。仕事は入れられないよね。事務所を辞めたとしても、やっていけないと思うけどね」などと告げられた。

その後、映画「進撃の巨人」でのんをヒロイン役に抜擢する案が持ち上がっていたが、事務所が断った。ショックを受けたのんは「事務所を辞めたい」と申し出たが、契約により認められなかった。
その後、15年1月にのんを代表取締役とする法人が設立され、取締役として滝沢が就任していることが発覚し、独立が現実味を帯びるようになり、この頃から「能年は滝沢に洗脳されている」という報道が相次ぐようになる。

「週刊文春」の直撃取材に当時ののんは「私は仕事がしたいです」と悲痛な叫びをあげていた。

「文春」の記事を巡っては、前所属事務所が名誉毀損で訴えていた裁判で、4月に前所属事務所が勝訴。文春側は即日控訴し、さらに記事のネタ元がのん本人であったことを公開。法廷での闘争は続いている。

芸能界には引き抜き禁止・独立阻止という芸能事務所の鉄の掟が存在する。タレントは事務所の言いなりになるしかなく、反旗を翻した者は容赦なく干される。
ブレークして事務所の稼ぎ頭のはずののんであっても、芸能界の秩序を維持するためには干されるのはやむを得ない。そんな不条理がまかり通ってきた。

ところが、7月にジャニーズ事務所に対する公取委の注意が行われたことで風向きが変わってきた。

8月にはNHKが2週続けてのんを起用し、「あまちゃん」も配信が再開。ユニクロなどCMの出演は多く、干されているとされながら、収入は日本の女優の中でもトップクラスだという。

民放への出演こそないが、のんを取り巻く環境は着実に改善しつつある。今後も日本の芸能界の近代化を象徴するヒロインとして活躍が期待される。 =つづく

https://news.livedoor.com/article/detail/17098661/
2019年9月18日 9時26分 日刊ゲンダイDIGITAL