プロ注目の163キロ右腕、佐々木朗希(大船渡高)のドラフト1位指名からの撤退を検討している球団が続出していることが11日、明らかになった。
佐々木は、右手中指にできたマメの影響があり韓国で開催されていたU−18W杯で1試合、1イニングしか登板できず、チームも5位で帰国した。
佐々木の最終チェックを満足のいく形でできなかったため、そのポテンシャルの大きさを把握しきれず、入団後の育成法を考えて指名を躊躇している球団が出始めているのが現状のようだ。
日本の球団では手に負えないほどのスケールの怪物。それが佐々木なのかもしれない。

160キロ投手の育成プランが用意できない?!
スカウトが注目していた“高校侍ジャパン”の佐々木は、たった2イニングしか投げなかった。右手中指にできていたマメが潰れたため、
8月26日に神宮で行われた大学日本代表との壮行試合は12球、そして9月6日のU−18W杯の韓国戦でも19球でマウンドを降りた。
全力投球ではなかったが、ヒットは1本も許さず150キロ台前半のストレートは惚れ惚れとするものだった。それでも「投げられなかった佐々木」に対してファイナルアンサーに戸惑う球団が続出した。

何人かの球団関係者の声を拾ってみたが、意外にも聞こえてきた本音は、「悩む」「迷う」といった声だ。

「何が何でも1位」と公式アナウンスしている球団は日ハムだけ。日ハムは、吉村GMが6月の段階で「間違いなく1位で指名する」と公表。
その後も日ハムのスカウト陣は、「(1位指名の)評価は変わらない」と語っているが、複数の他球団からは、1位指名撤退の動きが伺えるのだ。
なぜか?
理由の一つが育成への不安だ。

ある球団の編成幹部が、こんな本音を語ってくれた。
「佐々木は即戦力だとは思いますが、やはり下半身も含めて体ができていない。
では、取った時に、これまでの新人と同じような形での育成でいいのか?という疑問があります。過去に160キロを超えるボールを投げる能力の投手を育てたことのあるチームは大谷翔平がいた日ハムしかありません。
160キロを超えると、人間の肩や肘にどれだけの影響を与えるのか。そのためのケアや故障防止はどうすればいいのか。
ノウハウを持っている球団はないのです。
メジャーにはあるのかもしれませんが、それでもダルビッシュや大谷など、トミー・ジョン手術をする投手が続出しています。
医学的な知識を持った人間も交えて、まったく新しいプロジェクトを組み、スタッフと特別育成カリキュラムを用意して、佐々木を迎える必要があるのです。
じゃあ、そういうプロジェクトをしっかりと作れるのか、という問題が出てきますよね。そう考えると“佐々木より他の選択肢がいい”となる。本当に悩みます。これは、どの球団も同じ状況でしょう」

プロ野球史に残るような“怪物”を手に入れたはいいが、ひとつ育成法に失敗すれば、そのせっかくの逸材を眠らせたまま終わりにしてしまう危険性がある。
故障でもさせれば一大事だし、そうなれば、球団に対して「岩手県大会決勝登板を回避してまで将来にかけたのに何をしてんだ?」とファンの批判が殺到、チームの編成計画も狂うだろう。
しかも、前出した某幹部が語った通り、160キロを投げるポテンシャルを持った投手の育成カリキュラムを持っている球団など、どこにもない。故障の不安もつきまとう。佐々木の1位指名には大きなリスクを伴うのだ。

佐々木が、今大会で、計2イニングしか登板できなかった問題は、それらの不安にさらに火をつけることになった。
スカウトは一様に「かなり育成に時間がかかる」と判断せざるを得なかったのである。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190912-00010000-wordleafs-base
9/12(木) 5:21配信