星稜を破り、履正社が初の日本一に輝いた101回目の夏の甲子園。今大会も、数々の名勝負と熱い演奏をアルプススタンドで観戦。全出場校49校の応援は、どれも素晴らしいものばかりでしたが、なかでも特に心に残った印象的な応援を紹介したいと思います。

10位/仙台育英
『スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス』

 1964年の映画『メリー・ポピンズ』の劇中で歌われる楽曲を、今大会から得点曲として採用。点が入ると天理高校の『ファンファーレ』を演奏する学校が圧倒的に多く、同校もご多分に漏れずそうだった。

「他では使っていない曲に変えたいと思い、この曲で点が入って幸せな気持ちを表現したかった」とは、応援をまとめるホルンパートの熊谷薫君。ディズニー音楽らしいハッピーなメロディが、アルプススタンドを明るく盛り上げていたのが印象的だった。

9位/高岡商
『ザ・ホース』

 チャンステーマとして使われる同校の名物曲。ジェシー・ジェイムズ作曲のマーチングでよく使われる曲で、マーチング強豪校ならではのキビキビとした動きも秀逸。野球部と一般生徒がメガホンで「T・A・K・A・S・H・O! ゴーゴーレッツゴーレッツゴー高商!」とコールし、素晴らしい一体感も魅力。

■沖縄代表校が歌うとひと味違う。

8位/沖縄尚学
『ダイナミック琉球』

 沖縄では運動会のエイサーで使われるなど、県内で知名度の高い楽曲だが、近年は高校野球の応援曲としても全国的に人気がある。

「海よ 祈りの海よ 波の声響く空よ 大地踏み鳴らし叩く 島の太鼓(てーく)ぬ響き」という歌詞を、野球部員1人がアカペラで歌った後に全員で歌う、というパターンが多いのだが、沖縄代表校が歌うこの歌はやはりひと味違う感慨深さがあった。同作品をカバーしている、沖縄出身のシンガーソングライター・成底ゆう子も現地で観戦。「地元の学校が応援でやってくれて感動もひとしお。泣きました」と感激していた。

 ちなみに、演奏は長年に渡りすべての沖縄代表校の友情応援を引き受ける市立尼崎高校吹奏楽部が担当。今夏も、日程が重なる吹奏楽コンクールと調整しながら、アルプススタンドに駆けつけていた。

偉業を後押しした“魔曲”。

7位/智弁和歌山
『ジョックロック』

 高校野球ファンの間で“魔曲”と呼ばれるチャンステーマ。17年ぶりに実現した明徳義塾との名門対決で、0−1の7回にこの曲が鳴り響くと大会タイ記録となる1イニング3本塁打で逆転に成功。2000年夏の柳川戦(11回裏に7−6で逆転サヨナラ)、2006年夏の帝京戦(9回裏13−12で逆転サヨナラ)など数々の伝説を作ってきた魔曲が、今回もまた新しい記録を引き起こした。

6位/習志野
『星空のディスタンス』

 THE ALFEEの大ヒット曲を応援曲として使用。以前コンサートで「生徒の親世代も喜ぶ曲を」と演奏したところ、「応援曲にもいいのでは」と顧問の海老澤博氏が思い立ち、応援用に編曲した。歌詞の「星空の下のディスタンス」を、「青空の下のディスタンス」と歌い、アルプススタンドから心からのエールを送る姿にグッときた。

 ちなみに、応援曲に使うことを知ったTHE ALFEEから、吹奏楽部にドリンクの差し入れと激励のメッセージが届いたという。

■衣装が印象的なKUMAKO。

5位/熊本工
『新サンライズ』

 チャンステーマとして演奏する同校の名物曲。勇ましい曲調で、マーチング強豪校らしく随所に動きも取り入れながら、グラウンドで戦う選手たちを勇気付けた。マーチングの衣装と羽根付き帽子の正装で演奏するのが伝統で、「この衣装に憧れて入部する」という生徒も多いという。

>>2以降に続きます


梅津有希子
2019/08/23 18:00
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