本当の“怖さ”を知るのはこれからだ。

 全英女子オープン優勝で超人気選手になった渋野日向子(20)は、帰国後2試合をこなし今週の「CATレディス」は欠場。地元・岡山でオフを過ごしているのだが、渋野とマネジメント契約を結ぶ会社は19日、各メディアに対し、オフの間に帰省先での本人や関係者への取材自粛を要請していた。

 渋野サイドがそんな「お願い」を出したのも理解できる。

 先週の大会(NEC軽井沢72ゴルフ)には、延べ2万1844人のギャラリーが訪れ、今季の3日間大会では最多を記録。同大会の2万人超は2009年(2万1428人)以来という大盛況ぶりだった。

「最終日のテレビの視聴率も、ゴルフ中継では異例の12.3%でした。これは2010年(9月5日)、フジサンケイクラシックで石川遼が連覇した時の12.0%を超える数字。渋野人気に改めて驚きました」(フジテレビ関係者)

 取材に訪れたマスコミも3日間で延べ200人。

「全英優勝直後の大会(北海道meijiカップ)にもたくさん来たそうですが、最近ではこれほど注目された女子プロの大会は記憶にない」(ツアー関係者)という。

 しかし、大挙押し寄せた報道陣の中には、渋野がプレー中に、

「どんな菓子を食べたか?」

「(好きな菓子の)ベスト3は何か?」

「前夜に誰と会食したか?」

 など、ゴルフ以外のくだらない質問をする者も少なくない。18日発売のスポーツ紙も渋野が珍味を頬張る写真を揃ってデカデカと掲載。本人は全英後に「あれだけ取り上げられると食べづらい」と本音を漏らしていた。

 最終日の会見でも記者から「インスタのフォロワーの数がイ・ボミを抜いて国内1位になりましたね」と言われ、「本当に(記者の)みなさんミーハーで」と、笑ってはいたものの、トッププロになるとあらゆることを調べられ、つまらない質問をされるということを身をもって知ったのではないか。

 そういえば、女子テニスの大坂なおみが昨年の全米オープンに優勝した時もそうだった。国内で行われた会見では「食べたいと言ってた、抹茶アイスはもう食べましたか」「日本のファンの声は届いていたか」「日本でやってみたいこと、行ってみたいところがあったら教えてください」「日本に戻られて、会いたい方はいますか」といった愚問に大坂は辟易していたから、今の渋野の気持ちがよくわかるはずだ。

■静かに生きていきたい

 それにしても、渋野が日本勢では42年ぶりの海外メジャー優勝を遂げたことで、周囲の見る目や環境がガラリと変わったのは事実。本人はそのことに相当困惑しているようだ。ある放送関係者が言う。

「昨年、2回目のプロテストに合格した直後は、40歳までプレーしたいとか、東京五輪の出場は難しいから、2024年のパリ五輪には出たいと語っていた。米ツアー参戦への意欲も明かしていたものです。ところが全英優勝後は、疲れや連日の取材攻勢から、40歳までプレーしたいという気持ちはすっかり萎えてしまった。先週は大会直前に軽井沢の観光名所で『一緒に写真を撮ってください』といわれ、すぐに顔がバレて人がどんどん集まってきたから、わずか10分でその地を後にしたそうです。国内の女子プロでは、17年限りで現役を引退した宮里藍以来のビッグスターです。ファンの目だけでなく、一挙手一投足を追う記者やカメラマンの動きも、すでに煩わしく感じているかもしれません」

 渋野は全英Vで来季の米女子ツアーへの参戦権を得ながら、当分は国内ツアーに専念すると宣言している。英会話や食事、生活面での心配事などが短期間で解決できないことは容易に想像がつくが、「国内専念は無名の頃から応援してくれたスポンサーや所属先への配慮もあるのでは」と見ている前出の放送関係者は、その一方で、渋野の今後についてこう語る。

8/23(金) 9:26配信 日刊ゲンダイ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190823-00000018-nkgendai-golf

写真
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