サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第93回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、Jリーグの監督交代について。シーズンが始まってまだ序盤といえるこの時期に、ヴィッセル神戸、ジェフ千葉、アルビレックス新潟とJ1とJ2合わせて3チームで監督が交代。この状況を宮澤ミシェルは残念だと語った。

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ヴィッセル神戸には驚かされっぱなしだね。フアン・マヌエル・リージョ監督を解任して、新指揮官には吉田孝行が再登板することになった。大物外国籍選手の獲得はまだまだあると睨んでいたけど、まさか監督交代劇が起きるとはね。予想外の展開だったよ。

それにしても、Jリーグが開幕してから2ヶ月あまりで、神戸を含めて、すでにJ1とJ2の3チームで監督交代劇が起きた。これは残念なことだと思うよ。

昨年11月にシーズンが終わってから進めてきたチームづくりが、監督交代で白紙に戻るわけだからね。2019年シーズンに向けてキャンプなどで積み重ねた時間はなんだったのか。「この監督のもとで2019年を戦うんだ」と決断したクラブ側は、開幕2ヶ月程度の成績不振であっさり方向転換する。シーズン前に下した判断が間違っていたという責任を、監督の首のすげ替えだけで終わらせるのか。そこは気になるところだよね。

リージョ監督辞任の報が流れた3日前に、アルビレックス新潟でも監督交代があった。J2ではジェフユナイテッド千葉が4節終了時点でエスナイデル監督から江尻篤彦監督へと交代したのに次いで2例目。両クラブともに成績不振が理由だけど、新潟の場合はどうなんだっていうのはあるよね。

解任された片渕浩一郎監督は、昨季途中の8月に就任して7勝3分5敗。今季も3勝3分3敗で9位。ただ、チームの流れとしては上昇気流をつかみかけていたタイミングだったんだよな。

解任2節前の第8節は前半に先制したものの、ファジアーノ岡山に後半4分までに3点を奪われて1‐3。こういう展開はふたたび自分たちに流れを呼び込むのは難しいんだけど、そこから粘ってアディショナルタイムで追いついて引き分け。解任直前の4月13日のモンテディオ山形戦でもアディショナルタイムに同点弾を決めて引き分けに持ち込んだ。

2戦連続での劇的な同点ゴールでの引き分けでしょ。本調子にならないチームが、「さあ、ここからだ!」と変わる転機だったと思うんだ。そのタイミングでの監督交代だから、選手たちは、「なんで?」という気持ちになったと思うんだよな。片渕監督で継続していてもよかったんじゃないかな。

4/23(火) 11:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190423-01087470-playboyz-socc