映画俳優・木村拓哉の勢いが止まらない。
昨年8月公開の映画『検察側の罪人』は骨太で重厚なストーリーで、キムタクが「善と悪の一線を越える」という難役に挑みながらも、興行収入約30億円とスマッシュヒット。
今年1月18日から公開が始まった映画『マスカレード・ホテル』も公開わずか7日で累計動員100万人を突破し、「興収50億円は堅い」といわれるほど大ヒット中なのである。ある映画関係者は本作の魅力を次のように語る。

「前作の『検察側の罪人』はキムタクにとってかなりの異色作でしたが、今回の『マスカレード・ホテル』はどこを切り取ってもキムタクらしい王道の作品。
キムタクが本作で初の刑事役に挑戦というのも意外でしたが、大人気ミステリ作家・東野圭吾がキムタクを主人公に想定して書いた原作を映画化したというだけあって、本当にハマッてます。

監督はキムタクの代表作『HERO』のドラマと映画も演出したフジテレビの鈴木雅之。気心知れた2人なので、息もぴったりといった感じです。
今まで東野圭吾原作の映像作品としては、福山雅治が主演したガリレオシリーズの『容疑者Xの献身』(2008年公開、興収約50億円)がダントツのヒット作だといわれていますが、今回はそれを超えるのではないかという勢い。
キムタクと福山という、芸能界的には絶対に共演しない2人が同じ作者の原作映画で競ってるわけですから、ある意味“キムタクと福山の代理戦争”ともいえる。これは目が離せませんよね」

木村拓哉は現在46歳。一方の福山雅治はこの2月6日で50歳を迎えたばかり。共にトップ俳優である同年代の2人に関しては、「絶対に共演はしない」という“伝説”が語られて久しい。
それはある週刊誌の記者が、「“この2人のどちらかが雑誌の表紙を飾れば、もう一方を同じ号に掲載してはいけない”という“忖度”が働く」と認めるほど、マスコミ業界においても確かに存在するものだという。

●“キムタク行政”の結果、役者陣が少々小粒?

福山のガリレオシリーズは、2007年に放送されたテレビドラマ版がヒットし、前述の『容疑者Xの献身』の続編にあたる映画『真夏の方程式』(2013年公開)も、興行収入33億円と実績を残している。

やはり、「東野圭吾作品といえばガリレオの福山」というイメージが一般的には強いだろう。

「東野圭吾ファンには周知の事実ですが、キムタクが主演した映画版の原作としての『マスカレード・ホテル』には、前日譚となる第2作『マスカレード・イブ』、
そして『マスカレード・ホテル』のその後を描き、主人公の刑事が再びホテルで潜入捜査をする第3作『マスカレード・ナイト』が存在します。
今回、『マスカレード・ホテル』が50億円を突破すれば、フジテレビで2作目を連ドラ化しつつ3作目を映画化、というのが規定ルートでしょう。
視聴率が取れず不振にあえぐフジテレビは、相当色めき立っているそうです」(前出の映画関係者)

見事シリーズ化が実現すれば、フジテレビにとっては「ガリレオシリーズに次ぐドル箱企画」を手に入れたも同然。
関係者からはそれほどの大きな期待を寄せられているわけだが、一方で「確かに『マスカレード・ホテル』は上質のミステリ作品としては安心して観れますが、フジテレビならではの“粗さ”も目立つ」と水を差す人も。

「物語のほとんどがホテル内で進行する一幕モノという意味では、同じフジテレビ色の強い映画『THE 有頂天ホテル』(2006年公開、監督/三谷幸喜)と比べてしまいますよね。
しかし、役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、篠原涼子らをはじめとして錚々たるメンツが一堂に会していた『THE 有頂天ホテル』に比べれば、『マスカレード・ホテル』の“布陣”はどうしても見劣りします。
基本的には『HERO』を中心とした鈴木雅之組の役者が多く、制約の多いキムタクとの兼ね合いもあって、人気俳優をそこまで多くは出せないんです。
興収60億円を突破した『THE 有頂天ホテル』は、三谷幸喜という天才のもとに役者たちが集いましたから、どこを切り取っても当時の人気俳優が出てきます。
そこは、“キムタク行政”をうまく仕切れなかったフジテレビの限界ともいえるでしょうね」(某映画配給会社社員)

とはいえ、とにもかくにも現在は大ヒット街道を爆走中の『マスカレード・ホテル』。一方で、ガリレオシリーズの最新作小説『沈黙のパレード』が昨年10月に発売され、「福山でぜひ映像化を!」と望む声が早くも上がっている。
はたしてキムタクは、福山雅治から「東野圭吾作品の“真の主人公”」という金看板を奪取することができるのか? この“代理戦争”から、しばらくは目が離せそうにないようだ。

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2019.02.07 19:00 ビジネスジャーナ