1月27日に開かれた記者会見以降、連日、嵐の活動休止に関する報道が続いています。

 その大半は、嵐の活動休止を悲しむ声や、彼らの素晴らしさを称えるものですが、飛び抜けて反響が大きかったのは、「無責任」質問に関する記事。ある記者の「『お疲れ様でした』という声もある一方で、
『無責任』という指摘もあると思う」という発言に批判が殺到しただけでなく、「モーニングショー」(テレビ朝日系)の石原良純さんや羽鳥慎一さん、「バゲット」(日本テレビ系)の青木源太さん、
「バイキング」の坂上忍さんら情報番組の出演者たちもこの発言に批判的なコメントを発しました。

 しかし、嵐の会見で見えた本当の問題は、いち記者による「無責任」質問ではなく、「メディアとしてどうなのか?」と思わせるところが多々あったことなのです。嵐の人間性や仕事やファンと向き合う姿勢は
素晴らしいものがありました。それだけに、メディアに対する疑念が浮かび上がってしまったのです。

中略

■恋愛や結婚に触れる質問はなし

 ところが、今回の会見では恋愛・結婚に触れる質問はありませんでした。「全員アラフォーのグループに対して恋愛・結婚に関するフレーズはタブー」という状態は明らかに異常。「個人の意思を尊重する」と
いう風潮の現代においては時代錯誤です。

 また、同じアラフォーで昨年、芸能界引退した滝沢秀明さんと退所した渋谷すばるさんの名前が出ないことも「不自然」と言われても仕方がないでしょう。大野さんは2人と「40歳を前に自分の人生を考え直した」という
共通点を持ちながら、異なる道を選びました。2人と比較することで、より大野さんの思いを掘り下げるチャンスだったのに、それをしなかったのです。

 大野さんにとっても憶測を書かれてしまうリスクを回避できるだけに、「2人にふれるな」というジャニーズ事務所と「2人にはふれない」というメディアの閉鎖的なスタンスに疑問を抱かざるをえません。

 名前が出なかったことで「やっぱり」と思わされたのは、SMAPも同じ。大野さんが最初に相談を持ち掛けたのは2017年6月であり、SMAPが解散した2016年12月からわずか半年後のことでした。
今回の会見でも、「人生を考えるうえでSMAP解散の影響はあったか?」という質問くらいはできるはずですが、いまだSMAPというフレーズ自体がタブーになっていることを再認識した人は多いでしょう。

 もし滝沢さん、渋谷さん、SMAPの名前をあげた質問があったとしても、自然体で聡明な嵐の5人なら、自分たちの言葉でしっかりコメントしたのではないでしょうか。もし返答に困る人がいたとしても、
質問することでふだんとは異なる顔を見せてくれたはずであり、そういう取材をあきらめたかのようなメディアの姿勢には首をひねりたくなってしまうのです。

 ただ、これらの忖度をメディアに求めるジャニーズ事務所も、ジャニーズ事務所に忖度して避けるメディアも、「このまま前時代的な商慣習を続けていいとは思っていない」でしょう。ネットの進化によって
人々の発信力が高まっているだけに、自分たちの利益を追求するような古い商慣習は批判され、影響力が弱まっていくことはわかっているはずです。

 その後、会見を取材していたメディアらが、「活動休止の真相」「結婚の可能性」などの記事を次々に報じました。しかし、どれも会見で質問して掘り下げられなかった分、表面的かつ憶測の多いものであり、
もどかしさを感じてしまいます。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190129-00263156-toyo-soci
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190129-00263156-toyo-soci&;p=3
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190129-00263156-toyo-soci&;p=4