12月9日放送のテレビ番組『サンデー・ジャポン』(TBS系)で、今年大きな問題となった“渋谷ハロウィン”について特集した。
そのなかで「ヤクザが必要」といったコメントが飛び出し、番組終了時にアナウンサーが謝罪する事態となった。

番組では、渋谷ハロウィンのイベントの際に起こった軽トラック横転事件について、4人の逮捕者が出たと言及。
警視庁が250台の監視カメラを解析してリレー形式で容疑者を追い、4万人もの群衆の中から特に悪質な4人を逮捕したと伝えた。

今回の逮捕劇については、多くのメディアが容疑者4人の実名や素顔を報道。『サンデー・ジャポン』でも同様に扱われているが、
一方で顔出し・実名報道について賛否があったことにも言及している。
「メディアはよくやった。そうしないと反省しない」「トップニュースで顔も名前もさらされるような犯罪なのか」といったネット上の声が取り上げられた。

さらに番組では、お笑いコンビ・爆笑問題の太田光が仕切る「光の小部屋」でも渋谷ハロウィン問題をテーマに進行。
タレントのミッツ・マングローブとナジャ・グランディーバとの3人で、実名報道などについてトークを始めた。
そこでミッツは、ハロウィンの狂騒について、「クリスマスとかお正月に比べて、何を祝ったらいいかわかってないからこんなことになる」と持論を展開。
続けて「お祭りの秩序って、ヤクザな人たちが治めてるとこあるじゃない」と発言した。

さらにミッツが「渋谷は(ヤクザが)いないんですよ」と言葉を続けている最中、太田が被せるように「ヤクザが必要ってことかな」とコメント。
「山口組に頼みますか」と悪ノリしたものの、ミッツとナジャが深堀りしなかったため太田は「なんか俺ひとりが損してない?」と自虐的に笑いを誘った。

この一連の“ヤクザ発言”は波紋を呼び、インターネット上には「反社会勢力を肯定するような発言は慎むべき」
「品位もモラルもないコメント」「問題の根本を履き違えた軽々しい考え方としか言えない」と批判が殺到した。

番組終盤の「本日のお詫び」コーナーで、山本里菜アナウンサーが「ヤクザに仕切らせるといった発言がありましたが、大変失礼いたしました。不適切な発言でした」と頭を下げて謝罪。

爆笑問題・田中裕二も「それがいいってわけではないですよね」とフォローした上で、太田、ミッツ、ナジャも頭を下げている。
こうした流れに、「なぜ発言した本人たちでなく無関係のアナウンサーに謝らせたのか」「発言した本人がちゃんと謝罪しないのは卑怯」といった声も相次いだ。

各地で大小の祭りやイベントを運営するイベント企画会社の担当者は、ミッツと太田の発言について、次のように話す。

「地域の祭りをヤクザが仕切ってきた歴史は確かにあり、現在でも一部の地域ではヤクザが影響力を持っている地域もあります。
しかし、反社会勢力を排除する機運が高まり、警察も祭りなどのイベントでは積極的に見回りなどを行うことでヤクザの影響力は縮小しています。
ヤクザに仕切らせれば秩序が保てるようになるというのは、安直すぎる考えです。

実際に、ヤクザを一切排除して秩序を保っている祭りも少なからずあります。最たる例は、東京・港区の『麻布十番祭り』です。
ヤクザの資金源のひとつといわれる出店、いわゆる“テキヤ”を締め出し、商店街加盟店舗のみに祭りでの物品販売を許可したことで、いまや極めて安全で人気の高い祭りとなっています。
渋谷ハロウィンの根源的問題点は、“主催者”不在でスタートしたことにあります。
今は渋谷区や商店街組合、警察が連携して秩序を安定させようとしていますが、そもそもは若者たちが“なんとなく”騒ぎ始め、メディアに取り上げられて、さらに人が集まるようになった感があります。
そしてエリアもセンター街だけではなく広域にまたがっているので、責任の所在が不明瞭です。
しかし、それをヤクザに任せるという発想、発言は言語道断です」

問題を提起する報道番組で“問題発言”が飛び出しては示しがつかない。コメント内容には十分な注意を払ってほしいものだ。

http://dailynewsonline.jp/article/1606474/
2018.12.11 19:05 ビジネスジャーナル