【ジャカルタ武内彩、松本晃】大会序盤に国旗の落下やタイマーの故障などが相次いだジャカルタ・アジア大会で、観客席の空席が続いている。インドネシアで人気が高いバドミントンでさえ、がらがらの日もあれば、当日券がすぐに売り切れる競技もある。運営が不安定なまま大会も終盤となってきたが、地元勢の快進撃に大会組織委員会は楽観的だ。

 28日にあったバドミントンの男子シングルス決勝。世界ランキング15位のヨナタン・クリスティ(インドネシア)が優勝すると、超満員の観客は歓喜した。インドネシア勢が敗退した混合ダブルス決勝があった27日の夜は空席ばかりだった。陸上、卓球などでも観客席が埋まらない。

 大会組織委員会は27日の記者会見で「当初から担当したキオスティックス社が販売したチケットは全体の10%以下。半分以上はまだ売れていない」と、さらりと明かした。同社は開会式前からシステムの不具合が相次ぎ「購入したはずのチケットがキャンセル扱いになっていた」などの書き込みがインターネット上に出ていた。

 組織委は22日からインターネット上の販売は別の会社に切り替えたが、今度はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で「座席数以上のチケットが販売されたみたい。チケットを持っていたのに入れなかった」との苦情も出た。チケットは本来は組織委の重要な収入源のため、完売することに躍起になるものだが、組織委の対応は臨機応変でもあり、ある意味では場当たり的。インドネシアの人々の決まり文句は「Ya udah(なるようにしかならない)」だという。

 インドネシアは28日午後5時現在(日本時間午後7時)までに金メダル24個を獲得。国別のメダル獲得数では中国、日本、韓国、に次ぐ4位につけている。前回の2014年仁川(韓国)大会は4個。ジョコ・ウィドド大統領が開幕前に掲げていた「トップ10入りのために少なくとも16個」の目標を楽々と突破する空前の快進撃だ。

 もともとインドネシアではスポーツ観戦と言えばサッカーくらいしかなく、お金を払って楽しむ文化が根付いていなかったが、会場を訪れる人々は増えている。組織委は「大会は大盛り上がりだ。空席も埋まるだろう」と期待している。


8/29(水) 6:30配信 毎日新聞
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