第100回全国高校野球選手権大会で3回戦進出を決めた金足農(秋田)の快進撃を農業専門紙の日本農業新聞が
精力的に報道している。同紙の担当者は「金足農の活躍を報道することで、農業系高校の存在感を高めたい」と
話している。

「農一筋 祖父感涙」「吉田選手へ『よくやった』」。金足農が鹿児島実(鹿児島)を破って1回戦を突破した翌日の9日、
日本農業新聞は総合・社会面の大半を使って大々的に報道した。

金足農のエース、吉田輝星(こうせい)投手(3年)の祖父、理正さん(70)がアルプススタンドで応援する様子を紹介。
理正さんがJA秋田みなみ(現JA秋田なまはげ)に36年間勤め、退職後にナシ農家を営んでいることにも触れた。

2回戦で大垣日大(岐阜)を破ったことを報じる15日付の紙面では、応援団が猛暑の関西を想定して、長袖、長ズボン姿で
ガラス温室の中で特訓を重ねてきたことを紹介し、団員たちの声を伝えた。

いずれの記事もインターネット版でもアクセスが好調だ。

取材を担当しているのは大阪支所の前田大介記者(41)。釧路新聞(北海道釧路市)でスポーツを担当していた経験から、
「日本農業新聞として農業系高校の野球部を取り上げられないか」と模索していたところ、金足農の甲子園出場が決まった。

日本農業新聞が高校野球を本格的に取材するのは初めて。甲子園の取材証を申請したところ、「農業新聞がなぜ?」と、
主催者からすぐには認められなかったという。

全国農業高校長協会によると農業系高校は全国で117校で、10年前より23校減った。甲子園出場では戦前の嘉義農林(台湾)や、
日田林工(大分)、新発田農(新潟)、明野(三重)、印旛(千葉、現印旛明誠)などが知られるが、近年では私立普通科に押され、
平成21年夏の伊万里農林(佐賀)、昨夏の坂井(福井)などの出場があるだけだ。

金足農の次戦は17日予定の横浜(南神奈川)戦。農業系高校の有馬(兵庫)の吹奏楽部が応援演奏に加わる。

前田記者は「金足農ナインの活躍は全国の農業関係者が注目している。農業系高校を盛り上げていきたい」と、甲子園報道に
意欲を見せている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180815-00000557-san-base