'06年に中日からFAで移籍した野口茂樹(39歳)も、外様と生え抜きの違いに苦悩した一人だ。野口が言う。

「巨人では3年間プレーしましたが、いい思い出は……ないですね。巨人では先発から中継ぎへとコンバートされた。それで肘を痛めてしまったんです。
それまでも肘には故障を抱えていて、治し方というか、ごまかす方法はわかっていたんです。それは休養をもらうこと。
しかし巨人では、休んでいる余裕がなかった。少しでも欠場すれば、すぐにポジションを奪われてしまいますからね。

FAで自ら移籍を希望したということが大きかった。生え抜きの選手とは違い、僕ら外様は『痛いから休ませてください』なんて言える状況ではありませんでした。それでどんどん悪化していった」
2年目のシーズンが終わったオフ、野口は年俸1億円から2500万円へ、75%の大幅減俸を提示された。

「故障したので下がるのは予想していたんですが、あれほどとは思わなかった。一応FAのときは、三顧の礼で迎えられたわけですしね。しかし『何とかなりませんか』と言っても『ならない』と、取り付く島もなかった。

だから僕は、肘をきっちり治すしかないと思った。そこで『手術させて欲しい』とお願いしたんです。しかし、それに対しても答えはノーだった。そのとき、見限られたんだなと思いました」