日大の田中理事長にクーデター勃発 元副総長らが暴露「会見を求めたら『俺は悪くない』」〈dot.〉
8/3(金) 17:09配信 AERA dot.
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会見に参加した元副総長ら4人(撮影/西岡千史)
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田中理事長らに出された役職辞任要求書
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日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で3日、日大の元副総長ら4人が文部科学省内で記者会見を開き、田中英寿理事長(71)を含む理事32人全員に対して辞任を要求した。
理事の各自宅に、会見に出席した牧野富夫元副総長ら5人の連名で「役職辞任要求書」を郵送。到着後10日以内に、学部長職を除くすべての大学での役職を辞めるよう求めている。

田中理事長だけではなく理事全員の辞任を求めたことについて、会見した加藤康栄元法科大学院研究科長はこう主張した。

「今や(日大の)組織自体が疑われている。これから大改革をするには、現執行部に退いてもらうしかない」

牧野元副総長はこれまで田中理事長に記者会見を開くよう直接、促したことがあると明かした。しかし、当の田中理事長は「俺は何も悪いことはやっていない。だから皆の前で謝る必要はない」とのリアクションだったという。牧野元副総長はその様子をこう語った。

「本気でそういう風に思っている節があるんです。仮にそうであるならば、『俺が正しい、悪いことはない』と会見でお話すればいいんだと返したが、
田中理事長は『その必要はない。時が経てば解消する』と言い張った」

一方、田中理事長は同日に日大の公式ホームページで謝罪文を発表。
「第三者委員会は、アメリカンフットボール部の前監督とコーチによる反則行為の指示があったことを認定しております。誠に遺憾というだけでは、済まされない行いだったと思います」と釈明した。

理事長としての責任については「このようなことは二度と繰り返さないことを誓い、この教訓を踏み台に日大再生を進める覚悟です」と、事実上の続投表明をした。

学生数7万人の巨大組織である日大が、なぜこんな状況になってしまったのか。日大の元理事はこう解説する。

「08年に田中氏が理事長になった後、13年に日大は総長制を廃止して、学長制に移行しました。これで学長の存在感は薄れ、田中理事長の独裁を許すことになってしまった」

田中理事長は、自らに権力を集中させる改革を次々に実施。学部長は教職員の選挙で選ばれた上位者から理事会が任命する仕組みになった。

「過去の学部長でも、田中体制に不満を持っていた人はたくさんいました。それも、改選の時期に交代させられた。
理事会でも、田中理事長に意見をする人なんてほとんどいません。学部長職をクビになるだけならまだしも、学部の予算まで減らされかねない。
そうなると、学生への教育に影響が出てしまう。黙って言うことを聞くしかないのです」

主要な人事も田中理事長をはじめ、一部の人間が掌握している。日大の職員は、こう話す。

「田中理事長の側近として働いてきたある職員は常務理事にまで出世しましたが、田中氏に自分の意見を述べたことで常務理事を外され、今では学校の施設整備の仕事をしています。
現在の理事会は田中理事長の影響下にあり、理事会主導で田中理事長を解任に持ち込むことは難しい」

牧野元副総長は会見で「私達を支持してくれる教職員たちはいっぱいいる。しかし、名前を出すことができない」と訴えた。
現職の教職員が声を上げづらい状況である以上、日大OBらによる“外部からの改革”に期待する声があるのもたしかだ。前出の元理事は、こう話した。

「この会見で終わるわけではない。日大を取り戻す動きは、まだ始まったばかりだ」