洞窟から脱出したタイのサッカーチームが次に向かうのは、大型スクリーンかもしれない。

 ハリウッドのプロデューサーの少なくとも1人は既にタイ入りし、水没した洞窟に閉じ込められた少年たちの困難に満ちた救出劇の映画化権を手に入れようと動いている。

 米映画制作会社ピュア・フリックス・エンターテインメントの共同創業者の1人、マイケル・スコット氏は10日、
タイ北部の洞窟近くにいることを明らかにした。同社の共同創業者デービッド・A・R・ホワイト氏によると、この過酷な試練を巡る映画に関する協力について、
同社は俳優や脚本家、投資家らと協議を始めた。このサッカーチームの話がニュースで拡散されるにつれ、タイの投資家を含め、いくつかのパートナー候補が同社に接触してきたという。

 サッカーチームのメンバー全員が無事に救出されたことで、プロジェクトの可能性に対する関心が一挙に高まった。
このタイの遭難事故はリアルタイムで世界中の注目を集め、プロデューサーたちは関心が高いうちに映画化の話を進めようと奔走している。

洞窟を巡る救出劇は、特にハリウッドにとって魅力的なことが立証されている。ハリウッドには既にチリの鉱山落盤事故を題材にした映画
「チリ33人 希望の軌跡」や、米ケイクリーク鉱山の救助を描いた2002年のテレビ映画「ペンシルベニアの奇跡」などの前例がある。

 ホワイト氏によると、年の一部をタイの首都バンコクで過ごしているスコット氏が、サッカーチームについて耳にした直後に洞窟へ行き、
現場で手伝いをしたり、ダイバーに取材したりしていたという。このような救出作業がメディアの大きな関心を集める前に現場入りすることで、
プロデューサーは通常、後からやって来るライバルよりも優位な立場を得ることができる。


 ピュア・フリックスは、この話のドラマ化に必要な事故の当事者たちの人生を作品化する権利の獲得を目指している。

 ホワイト氏は「彼らのストーリーを手に入れたら、次に重要なのは脚本家がそれをドラマチックで刺激的な物語に仕立て上げられるようにすることだ」とし、
「それでいて楽しめる感動的な内容でなくてはならない」と述べた。

 この話はテレビ番組や書籍など別の形で作品化される可能性も高い。映画情報サイト「デッドライン・ハリウッド」によると、
ドキュメンタリー番組を放送する「ディスカバリー・チャンネル」の運営会社ディスカバリーは、13日に放送予定の1時間の特集番組を既に発注したという。
また、出版業界の経営者らは、この大胆不敵な救出任務が本の題材にもなると見ている。

 出版大手マクミラン傘下セラドンブックスの発行人ジェイミー・ラーブ氏は「優秀な作家の手にかかれば、
このストーリーにはわれわれがまだ知らない側面が出てくる」とした上で「問題は、
メディアで報じられたこの信じられないほどドラマチックな話から得られてない情報を本から得られるかどうかだ。
今から数カ月たっても依然、読者を魅了できるかどうかが重要だ」と述べた。

ソース ウォールストリートジャーナル
https://jp.wsj.com/articles/SB11756459905445293977504584339540309761438