低い評価を覆し、開催国ロシアがソ連崩壊後初めてW杯8強まで進んだ。奇跡のような活躍を支えたのが「走る」という戦う上での基本だった。
 国際サッカー連盟(FIFA)のデータによると、準々決勝を終えた時点の走行距離は上位5人をロシア勢が独占。5試合でフル出場したMFゾブニンは約63キロでトップだった。堅守速攻の軸になったDF3人もそれぞれ50キロ以上をマーク。2度の延長戦があったとはいえ、同じ条件のクロアチアはトップ10に1人もいないのだから、ロシアはどこよりも走ったと言える。
 自陣に引いた展開が多く、攻め返すには長い距離を走る必要があった。相手のパス回しに対応させられ、仕方なく走らされた部分もある。しかし、会場を埋め尽くした地元ファンの大歓声に背中を押され、試合終盤もそれほど足は止まらなかった。スペインとの決勝トーナメント1回戦では後半に追い付き、クロアチアとの準々決勝も延長後半に同点ゴールを決めて、PK戦に持ち込んだ。
 ロシアのスポーツ界はドーピング問題を抱えているだけに、驚異的な持久力が薬物の恩恵ではないかと疑いの目を向ける欧米メディアもある。だが、批判には何の証拠もない。むしろ、力を振り絞ってピッチを駆け続け、躍進したことは純粋に称賛されるべきだろう。

https://www.jiji.com/jc/worldcup2018?s=news&;k=2018071000221