首相官邸で7月2日に行なわれた国民栄誉賞表彰式での羽生結弦(23)は、袴姿で爽やかな笑みを浮かべていた。

「皆さまとともに取れた賞だから」と記念品を辞退したことなどを謙虚に語っていたが、記者たちには“タブー”の話題があったという。

「羽生の囲み取材に入る前に、日本スケート連盟関係者からの要望で記者団に“高橋大輔さんの件についての質問はNGです”というアナウンスがあったんです。場所が官邸だったので政治部の記者が多く、その意図が深読みされることもなかったのですが、スポーツ担当の記者たちは内心ガッカリしていました」(現場にいた記者)

 それもそのはず、高橋といえばバンクーバー五輪で日本男子初の銅メダルを獲った元王者で、この前日に現役復帰を“電撃発表”していた。

 そんなフィギュア界の大ニュースを羽生はどう語るのか──記者たちの関心が集まっていたのだ。フィギュア担当記者はこう話す。

「“NG質問”の件について、フィギュア関係者たちの間では“やっぱり”という反応です。アーティストタイプの高橋と勝ちにこだわる羽生は、キャラクターも選手としても正反対で、ファン同士も折り合いが悪く、インターネット上での議論が過熱することもたびたびある。羽生本人も高橋復帰を意識しないはずがない」

 フィギュアスケート男子で五輪2連覇という偉業を成し遂げた羽生にとって“32歳の元王者”はライバルとなりえないように思えるが……。注目は6月に発表されたルール改正だという。

「今回は大幅改正で、特に男子への影響が大きい。4回転ジャンプの基礎点が大きく下がり、4回転を多く跳んで高得点を稼ぐことが難しくなります。一方、ジャンプ以外の要素にもつく出来栄え点は7段階から11段階に拡大。どう転ぶかはいざ始まってみないとわからない状態で、フィギュアの大転換期になるともいわれています。高橋の表現力は世界的に評価が高く、技術点では劣っても演技構成点では世界トップクラスの点数を叩き出してきた。少なくとも“羽生が圧勝”とはいいきれない」(前出・フィギュア担当記者)

 そんな“緊張感”が質問NGにつながったのか。日本スケート連盟にその真意を問い合わせたが、期限までに回答はなかった。“直接対決”が待ち遠しい。

※週刊ポスト2018年7月20・27日号

2018.07.09 16:00
https://www.news-postseven.com/archives/20180709_716869.html