サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会の日本の初戦となるコロンビア戦が、19日午後9時(日本時間)から行われる。4月に起きたハリルホジッチ監督の電撃解任が尾を引き、日本国内におけるW杯への関心度は低調−。そんな報道もあったが、本当にそうなのか。

 検索ワードを過去と現在で相対比較できる「Googleトレンド」で「サッカー日本代表」と検索してみると、意外な数字が見えてきた。04年1月までさかのぼることができるため、過去3大会と比較してみた。

 最も検索されたのは14年6月で、ブラジル大会の開催中。その最大値を「100」とすると、決勝トーナメントにも進んだ南アフリカ大会開催の10年6月が「43」、ジーコ監督が率いたドイツ大会があった06年6月は「20」だった。

 スマートフォン普及率など過去と諸条件は違うが、今大会はまだ日本の初戦が行われていないにも関わらず「66」(数値は19日午後5時時点)と、ブラジル大会に次ぐ数字をマークしている。日本初戦はドイツ大会が6月12日、南ア、ブラジル大会がそれぞれ同15日(全て日本時間)といずれも今大会より早かった。

 実際の盛り上がりはどうなのか。サッカー用品専門店「サッカーショップKAMO」の総合企画室によると、ハリル氏の解任により、本大会のメンバー発表が例年より後倒しになったことで、選手名と背番号が確定せず、レプリカユニホームなどの応援グッズの売り上げに、少なからず影響はあったという。

 過去大会では「メンバー発表→壮行試合」の流れが一般的だったが、今回はメンバーが確定しない中、5月30日に国内最終戦を実施。ガーナに0−2で敗戦した。本番同様のレプリカユニホームを着用して、壮行試合を応援するという従来の習慣が適用されなかった。

 しかし、渋谷店の柳田崇店長(40)によると、最後のテストマッチだった今月12日のパラグアイ戦を4−2と快勝して以降、客足は好調という。週末の16、17日には多くのファンが、ユニホーム購入に来店。その試合で2得点を挙げたMF乾貴士モデルの売れ行きが急上昇した。

 ハリルジャパン後期に落選を経験するも、MF香川真司、本田圭佑モデルは根強い人気で売れ筋1、2位を維持。続いて主将のMF長谷部誠、プラチナ世代のMF柴崎岳が後を追う形という。訪日外国人が日本のユニホームを買うインバウンド需要もあるという。

 総合企画室の担当者はグッズの売れ行きについて「メディアの記事の書き方に連動するところがある」と分析。西野体制になり初得点初勝利したパラグアイ戦で明るい兆しが出たことが大きかったという。

 監督解任の背景に不信感が拭えず、今も納得がいかないサポーターもいた。細野稜介さん(19=大学生)は「解任した日本協会の対応は、ハリルを切り捨てた印象だ。ハリルは本番に強いという触れ込みで監督になったはずなのに、3月の親善試合の不調を理由に切った。ハリルを切るために親善試合をやったようにも思えてしまう」と憤った。一方で、店舗を訪れたのはユニホームを購入するため。協会と首脳陣の“政争”と、純粋に日本代表を応援したい気持ちは別物だった。

 柴田雄さん(20=大学生)は「本田、香川は今大会限りだと思う」とベテラン中心のチーム編成を危惧しながら「ユニホームは次世代を担う、柴崎、宇佐美、原口らのどれかを買いたい」と、今大会後も日本代表の応援を続けたい気持ちを語った。

 また、スポーツバーでは予約が好調だという。女性の健康美を前面に出したユニホームで人気の米国カジュアルダイニング&スポーツバー「フーターズ」は、都内4店舗と名古屋、大阪、福岡に計7店舗あるが、全国約1000席が満席だという。都内の店舗では「立ち見でも良いから入れてほしい」との要望があり、急きょ、立ち見席をつくった。

 運営会社、株式会社HJの松本浩之営業部長(58)は「フーターズは2次会利用のお客様が多い。今回(コロンビア戦)は午後9時スタートなので、お食事を済ませたお客様が多いと思います」と、うれしい悲鳴だ。

 「監督解任」「弱い」などと、負のイメージが先行した日本代表だったが、やはりW杯本番となると注目度は高まっている。この「関心」を「フィーバー」に昇華させる手段は、西野ジャパンの勝利しかない。【三須一紀】

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