【サランスク(ロシア)=静岡新聞社特派員・岡田拓也】磨き上げた個人技を世界に示す時が来た。サッカーワールドカップ(W杯)日本代表の戦いが19日に始まる。静岡市清水区出身で類いまれな個人技が武器の大島僚太選手(25)=J1川崎フロンターレ=は「大胆に強気に臨んでいきたい」と自身初の大舞台へ気持ちを奮わせる。

 大島選手は幼い頃から技術の大切さをたたき込まれた。小学1年の時に競技を始めた船越サッカースポーツ少年団の教えは「個人技で突き進め」。パスを禁止した練習も多く、大島選手を指導した中村吉孝副代表(47)からは「自分で相手を抜いた後に見える世界を見なさい」と教えられた。

 「相手をかわして、シュートを打ってゴールに入った瞬間がとても気持ちいい」。大島選手は「日本代表で活躍したい」と夢を書いた市立清水船越小の卒業文集に、サッカーの魅力をつづっている。

 中学、高校の6年間を過ごした静岡学園も個人技を重視したスタイル。全国各地から集った技巧派の中で、大島選手は「目の前の相手に負けたくない」と必死にサッカーへ打ち込み、プロの目に留まるまで成長した。

 2002年の日韓大会で初めて見たW杯は、「まさか(自分が)そういう場に立てるとは思っていなかった」と話す夢の舞台だ。2年前にリオデジャネイロ五輪で“世界”を体験したが、W杯の雰囲気は「正直分からない」と言う。

 8日のスイス戦で腰を痛めたが、出場に支障はない。小学校の卒業文集にはこうも記していた。「目標があれば人間は頑張れる。目標に向かって頑張り、夢をかなえていきます」。一歩ずつ成長してつかんだ世界最高峰のピッチにはどんな光景が広がっているのか。自分の目で確かめてくる。

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