行定勲監督(49)が5日、都内で行われた映画「焼き肉ドラゴン」(22日公開)トークイベントで「今、この時代に見るべき映画だと感じた。こういう映画が日本映画でヒットしないと、本当につまらない日本映画ばかりになってしまう」と警鐘を鳴らしつつ、観客に口コミを訴えた。

 「焼き肉ドラゴン」は、劇作家の鄭義信氏(60)が08年に新国立劇場と韓国の芸術の殿堂のコラボレーションで原作、脚本を担当し、製作した舞台の映画化作品だ。高度経済成長期の1969年(昭44)の大阪・伊丹空港近くの集落を舞台に、小さな焼き肉店を営む在日韓国人の一家が、故郷を奪われながらも力強く生きる姿を描いた。舞台は国内の主要演劇賞を受賞し、チケットが取れない観客が続出し11年、16年に再演された。

 鄭氏は映画の脚本家としても、93年の映画「月はどっちに出ている」(崔洋一監督)でキネマ旬報ベストテン脚本賞、98年「愛を乞うひと」(平山秀幸監督)で日本アカデミー賞最優秀脚本賞などを受賞した。その鄭氏が今回、自ら初の映画監督を務めた。

 行定監督は、かつて鄭監督に脚本を依頼したことを明かし「7〜8年前にお会いして、ある大作映画の脚本を意を決してお願いした。脚本が完成し、これはいけるぞという1週間くらい前に(企画が)ポシャった。すばらしい脚本が残っていますので諦めたわけじゃない」と今も鄭氏の脚本の映画化を狙っていると語った。

 「焼き肉ドラゴン」については「初演は見ていない。チケットが取れなかった。心待ちにした再演でやっと見られて…再々演も見ています」と、舞台がなかなか見られなかったことを振り返った。映画版については「完成したと聞いた時、鄭さんが手がけたので、いいだろうと思っていたけれど、初見で見た舞台を超えられるのか心配だった。でも、他の監督が受けたら大丈夫かなと…受けるとは感じられないし、僕のところにきたら即答(断った)。自信がない。鄭さんが監督で良かった」と、しみじみと語った。そして映画について、持論を展開した。

 行定監督 映画は記憶みたいなもの、(作る時点より)前のものから生まれる。プロデューサーは何で今、映画化する? と言うけれど、今しかない。今、撮るんだけど…映画は未来に放たれるもの。鄭さんは未来に向けて放っている。

 劇中には、キム・サンホ演じる父龍吉が「たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる」というせりふがあるが、そうした未来につながる作品性を行定監督は高く評価した。

 行定監督も、在日韓国人の高校生を描いた小説「GO」を実写映画化した。「GO」は01年に公開され、日本アカデミー賞最優秀監督賞など、国内の主要映画賞を総なめにした。近年は、原作のないオリジナル脚本の映画化を強く訴え、小説や漫画を原作にする場合も、自身の解釈を加え、映画として独立した作品を作り続けている。その立場から、鄭監督が自身のオリジナルの舞台である「焼き肉ドラゴン」を映画化し、映画監督に初挑戦したことを評価。「演劇は(劇場にいた)限られた人しか見られないし、見た人しか記憶に残らない。鄭さんは、未来に放たなければいけない家族の話を世界に放つことが出来るのは映画(だと分かって撮った)」と絶賛した。【村上幸将】

日刊スポーツ 6/5(火) 23:28配信
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2018/06/06(水) 09:03:44.19
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