野口五郎がラジオ番組で語った秀樹との思い出



もしもタイムマシンがあって
秀樹と過ごしたあの頃にもう一度戻るとしたら
一体いつがいいか…

そう、あれは地方公演の時だった
ホテルの別々の部屋で休む
鍵はマネージャーに渡し、外出など許されなかった
ファンの人たちでパニックになることがわかっていたから
新幹線、飛行機、ホテル
特別扱いされていたのは、ただ単に、ファンが溢れ、失神者が続出し、周りに迷惑がかかるから、
ただそれだけの理由だった

深夜、チャルメラの音が聞こえた
夜泣きそば
無性にラーメンが食べたくなった
「おい、ヒデキ ラーメン食べに行かないか?」
彼の部屋に電話した

二人でホテルの窓から出る
とんでもない高さ 一歩間違えば転落死
でもそんな恐怖は何でもなかった
深い、何処までも深い孤独に陥る恐怖に比べれば気にならなかった

屋台のラーメン屋さん 並んで腰かけた
「うまいな ヒデキ」
「うまいね ゴロー」
会話はそれだけだった

そう、過去に戻ってもう一度体験してみたい時間は
あの屋台でのひとときだ
二人で並んでラーメンをすすったあの時
少なくとも、僕は救われた
ひとりではなかった