[秋野暢子さん]尊厳死へ 毎日を大切に
2018年5月22日
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 昨年、60歳を迎えたのを機に一般財団法人「日本尊厳死協会」(本部・東京)の会員になり、「病気で回復の見込みがなくなったら、延命治療はしないでほしい」と家族らに意思表示しました。

 これまで十分に充実した日々を送ってきたので、安らかに旅立つのが、私の望みです。介護や看病のことで娘に負担や心配をかけたくないという思いもあります。エンディングノートも用意して、葬儀や遺品の処理などについて書き始めました。

 実は、母も延命治療を望まず、60歳で尊厳死協会に入会しました。そして78歳の時、危篤状態になり、私は医師から「延命治療をしますか」と問われたのです。当時、私は38歳。悩みましたが、母の気持ちを大事にしたいので断りました。

 とはいえ、その後20年くらい、「母の生死を私が決めてしまった。これでよかったのだろうか」と振り返ることがありました。でも、年を重ねた今は、私が娘を思いやるように、母も私のことを思って、自分の人生の閉じ方を決めていたのだと気づきました。

 尊厳死協会の会員証は、財布に入れて持ち歩いています。人生の最期を意識することで、毎日を大切に生きようという気持ちが、いっそう強くなりました。食生活に気を使い、毎日ランニングも欠かしません。一日でも長く健康でいたいと願っています。(大広悠子)

 ◇ あきの・ようこ  女優。1957年、大阪府出身。75〜76年、NHK連続テレビ小説「おはようさん」でヒロインを演じる。バラエティー番組、情報番組などでも活躍中。