「追い求めているアグレッシブな攻守には、絶対的な走力も必要なので。おそらく選手たちは、あまり経験したことがないような厳しい練習をしています。
よく耐えてくれていると思っているし、成果が出ているという意味でも嬉しいですね」

戦い方も確立されてきた。マリノスとの第7節を除いて、シュート数はすべて相手を下回った。それでも粘り強く、かつ激しい守備で時間の経過とともに相手の体力を削いでいく。
11ゴールのうち9ゴールを後半に奪ってきた軌跡は、試合巧者へ変貌を遂げつつある証と言っていい。

しかも、辛勝ながら無敗をキープしてきたなかで、2012シーズン以降の4年間で3度もJ1を制した名門に、失われつつあった自信も蘇ってきた。2015シーズンの優勝に貢献したMF柏好文は言う。
「もともとは力のあるチームであり、上位で戦えるチームだと僕は思っている。みんながもう一度、自信をもってサッカーができていることが大きい」

実はYBCルヴァンカップのグループCでも2勝1分けの無敗で首位に立ち、わずか1失点と堅守を武器としている。同じ練習メニューを消化しながら、
リーグ戦ではなかなか出場機会に恵まれないサブ組が躍動している姿も、チームに相乗効果をもたらしていると指揮官は目を細める。

「紅白戦では実はサブ組が勝つことが多いんです。ちょっとでも気を抜けばサブ組に取って代わられるという、競争の激しさというか、いい意味での危機感も我々のエネルギーに変わっている」

敵地で湘南ベルマーレと対峙した15日の明治安田生命J1リーグ第8節も、前半は完全に主導権を握られながらも動じない。
前半の残り10分あたりからボールを回し始め、相手の運動量が落ちた後半に入ると、189cmの長身FWパトリックの高さを前面に押し出して2ゴールを奪って快勝した。

誰しもがこの流れを止めたくないと思いながら、高いモチベーションをもってプレーしている。このサイクルを大事にしていきたいけれども、
相手の運動量が落ちない早い時間帯からでも、自分たちのペースにもっていくことにもずっとトライしている。守備のレベルを下げることなく、攻撃のクオリティーもあげていきたい」

ベルマーレ戦から中2日の18日に待つ、名古屋グランパスとのルヴァンカップに臨むメンバーへも全幅の信頼を寄せながら、城福監督は表情を引き締めた。
開幕前の芳しくない下馬評を覆す快進撃は、豊穣の秋にますます明確な輪郭を帯びてくるはずの、理想のスタイルへと至る通過点にすぎない。

(文責・藤江直人/スポーツライター)

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順位表
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