あのスキンヘッドが表に出てくることは、しばらくなさそうだ。

女子レスリング五輪4連覇の伊調馨(33)に対するパワハラ行為が認定された栄和人前日本協会強化本部長(57)。日本協会の要職を辞任したが、所属する至学館大学レスリング部の監督は続投する。

同大学の谷岡郁子学長によれば、現役の選手全員が「今後も栄監督の指導を受けることを望み、(栄監督も)健全なチームづくりの当事者としての責任を果たす意思を表明している」という。

栄氏は現在も自宅療養を続けているとはいえ、協会が設置した第三者機関、内閣府のヒアリングに応じており、情緒不安定だった当初に比べて健康状態は回復しているとみられる。

4月には新入部員を迎えたこともあり、ここにきてレスリング部での指導、6月の全日本選抜選手権での指揮など現場復帰に意欲を見せているという。

内閣府の調査結果は、いまだ公表されていないものの、栄氏は日本協会の要職を辞し、社会的制裁も受けた。

しかし、それによって、みそぎも済ませたと判断しているとすれば時期尚早だ。被害者である伊調は依然として練習を再開していないからだ。

すでに伊調は、関係者を通じて協会に練習場所を確保するよう打診。協会側も「全面的にバックアップしたい」としているが、伊調は練習再開のメドすら立っていない。

レスリングの強豪大学、実業団は世界選手権(10月=ハンガリー)の代表選考会を兼ねた6月の大会に向けて練習を開始したばかり。

レスリング関係者によれば、それぞれの所属選手の練習を優先させなければならず、伊調に練習場所を提供したくてもできない状況だという。

復帰を希望している伊調よりも先に、栄氏が現場に戻れば、レスリング界はもとより、世間の非難にさらされるのは必至。栄氏は伊調が大会に出場するまでは表舞台に出られそうにない。

2018年4月14日 ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/227106/1

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