●税金優遇の批判、一理ある

公益財団法人が受ける税制上のメリットについて李顕史税理士に聞いた。

ーー日本相撲協会が受ける税制上のメリットはとても大きいと感じます

「公益財団法人は収益事業を行っていても、その収益事業が公益目的の事業と認定されている場合には、法人税が課税されません。

相撲協会の場合は、年に6回開催される本場所の他、地方での巡業が興行業にあたり、法人税が免除されていると考えられます。相撲協会が公開している決算書をみると、主な収益は『相撲事業収益』で、収入の約85%を占めています。一方で税引前の純利益(正確には税引前当期一般正味財産増減額と言います)は約6億3900万円です。

普通の株式会社なら税金は、概算で2億3500万円です。人によって感覚は異なるとは思いますが、税金が優遇されているという批判は一理あると思います」

ーー公益財団法人であり続けることの負担はあるのでしょうか

「公益財団法人は厳格な要件のもと認められているわけですから、事業報告など各種書類を作成し、提出する必要があります。この書類が膨大で、書類ごとの金額が整合しているかなどを見られるので、例えば1箇所の金額を修正するとなると、かなりの箇所の書類修正が必要となり、非常に手間がかかるのが現実です。

ちなみに相撲協会の定款61条には相撲協会がなくなった場合の財産分与についても記載されていて、財産は国や地方自治体に贈与すると明記されています」