度重なる暴行問題などの不祥事に加え、女性差別ともとれる「伝統」が問題視される日本相撲協会。実は、公益財団法人として国に認定されており、税制上の大きな優遇措置を受けている。一連の問題を受け、TwitterなどSNS上では「公益と名乗るのはやめるべきだ」「公益認定はおかしい」などと批判する声が出ている。

公益財団法人は、学術や公衆衛生、スポーツなど公益目的事業を行う一般財団法人のうち、行政庁(内閣府または都道府県)から公益認定を受けることで、公益財団法人として税制上の優遇措置を受けられる。

具体的には、公益目的事業の法人税が非課税になり、利子や配当など利益の分配を受ける場合に所得税が課されないなどの優遇措置となっている。

●「相撲」は公益目的事業

これを日本相撲協会にあてはめると、最もメインとなる相撲巡業が公益目的事業。事業計画の公益目的事業の欄には次のような記載がある。

「『相撲文化の普及振興』を事業の内容とし、相撲競技の公開、それを担う人材の育成、青少年・学生等への指導普及、相撲記録の保存及び活用を通じ、相撲文化の普及振興と国民の心身の向上を目指します」

次に「決算のご報告」(2016年度)に目を向けると、事業収益114億7546万円の内訳は、ほとんどが相撲事業収益(102億3094万円)。続いて、大きく離れて貸館事業収益が8億1920万円だった。一方、支払った法人税等はわずか15万1400円にとどまっていた。2015年度の「決算のご報告」も中身は似ていて、法人税等は同じ15万1400円となっていた。

●認定取り消し、多くが法人側からの申請

公益財団法人として、たいへん大きな税制上のメリットを受けながら、問題が絶えず起きている相撲協会。世間の風当たりは強いが、公益認定を今後取り消される可能性はないのか。

内閣府の公益認定等委員会事務局の担当者は、「あくまで認定法の基準に該当するかどうかで判断している」と話す。(認定法とは、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の略称)

これまでに8法人が公益認定を取り消されたが、ほとんどが書類作成などの事務負担を嫌った法人側から「認定を取り消したい」と申請があったことによるものだという。つまり、日本相撲協会が公益目的事業である相撲を継続し、取り消し申請を自らしない限りは、認定取り消しは考えにくいようだ。

つづく

4/11(水) 10:02配信
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