トルシエの目

日本には失望した。

 2002年や10年の大会で見せた組織的な力が全くなく、選手個々のつながりのみに頼っていたからだ。しかも選手たちは疲れ果て、プレーの熱狂や喜びを欠いていた。チームスピリットや戦い抜く気迫もなかった。

 ギリシャが誠実かつ真剣に戦い抜き、史上初のベスト16を決めたのとまさに対照的だった。メキシコやチリ、コスタリカ、オーストラリアが見せた「チームのために死んでもいい」というくらいの気持ちこそ日本に欲しかった。

 恐らく日本代表は、安易さと過信に包まれていたのだろう。12〜13人が先発と控えを保障され、チームの中に競争も刺激もない。

 プレーのオプションもない。唯一のオプションが本田と香川に頼ることだったが、本田は疲れ完全な抜け殻だった。香川も心理的に消耗し、自分自身の影でしかなかった。ふたりは最後まで爆発しなかった。

 また、1次リーグ突破はそう難しくないという過信が綿密な準備を妨げてしまったのだろう。
 フィジカルコンディションの不備は、目も覆わんばかりだった。

 日本はすべてを失った。単にW杯に敗れただけではない。築きあげてきた自信や、代表をめぐる熱狂、希望にあふれた輝かしい未来など、すべてだ。そして来年早々にはアジアカップが待っている。

 立て直すには、すべてを壊して再出発するしかない。チームを壊し、選手のヒエラルキーを壊してゼロから構築する。時間はかかるが、それが一番の近道であると私は信じている。(元日本代表監督)

↑本田と香川は癌でしかないとトルシエも言ってたのに2ヶ月前に壊すの阻止した電撃解任に笑うしかねぇわ