>>1 全文■週刊文春3月8日号

伊調馨悲痛告白
「東京五輪で5連覇は今のままでは考えられない」
恩師栄和人強化本部長からの「陰湿パワハラ」
から抜粋

「練習……そうですね、自分が求めていけば、練習させてくれるところはたくさんあると思うんですけど、私が(練習に)行ったことで、
栄(和人)監督による圧力が周りの方にかかるのはちょっと懸念している部分ではあるので。
うーん、『来て欲しい』って言って下さる方はたくさんいるんですけど、『私が行ったらどうなるのかな』って……」

――東京五輪に向け、練習場所がないということか。
「ないことはないですけど、自分が行く先、行く先、栄監督の目があるので、なかなか(難しい)。
狭い世界なので、私がどこに練習に行ったというのはすぐわかるのでストップがかかることも……」

本誌の直撃に対し、長年の苦悩を明かしたのはレスリングで五輪四連覇を果たした伊調馨(33)だ。

――北京五輪後に練習拠点を東京に移した。その後、栄さんからの嫌がらせが始まった?
「そうですね、はい」
――男子合宿に行けなくなったのも栄氏の意向?
「土方さんと栄監督の関係もあったと思います。田南部コーチがずっと私を見てくれていたことも、やっぱり嫌だったと思います。
栄監督としては自分の元を離れたので、面白くないんじゃないですか」

――栄氏から、「もう田南部のコーチを受けるな」と言われたことは?
「直接言われたこともあります。当時、田南部さんは男子の強化委員会で、男子のコーチだったので、
『そこは控えろ』と。ただ世界選手権などでは、コーチにアドバイス求めたりするんですけど『あまり話すな』と」

――リオ五輪の前は、満足に練習できる環境ではなかった?
「練習環境が少し狭まったかなというのはありました」

――それは男子の合宿に出られないから?
「そうですね。男子の合宿に参加したかったです。『出るな』と直接言われてはいないですけど、
(栄氏が)そういうことを言っていると田南部コーチから聞いたことはあります」

――リオ五輪後に警視庁には“出禁”となった。
「田南部コーチにすごく申し訳なく思います。田南部コーチと自分があまりにも近い状況にいたので、栄さんが気に食わなかったようです。
(栄氏と、警視庁の)土方さんとの話で、田南部さんが警視庁のコーチから外されて。ちょっと納得できないですね」

「最初の女子の合宿に参加した時には『よく俺の前でレスリングできるな』みたいなことは言われました」

――東京五輪を目指すのか。
「そこは日によって、波があるというか。後輩たちとやっていると、指導の道も面白いなと思ったりもしますし」

――五輪を目指すため、練習したくても練習場に行けない状況なのか。
「田南部コーチがああいう状況なので、また(誰かに)ご迷惑をかけるんじゃないかと思ってしまいます。
それに現役を続けるとなると、栄体制の元でやるしかないので、
また色んなことを我慢しながらやっていくとなると……。
朝練とか午後練も練習環境がしっかり整わないと、なかなか原をくくれない部分があります」

――目指すに目指せない?
「うん、そうですね」
「自分みたいに至学館じゃないところで練習している選手もたくさんいる。そういう子たちにも自分みたいな思いはさせたくありません。
遠征でも至学館の子達ばっかり選ばれるというのが結構あったりとかするので。そういう体制は変えていきたいですよね。
だから(試合で)勝つしかないというか……、栄監督に勝つには。
(内閣府への告発状について)聞き取り調査があれば受けようと思います。そこで真実をお話しできればと思います」