1993年5月15日、国立競技場で産声を上げたJリーグは四半世紀の時を経た2018年、25周年を迎えた。この25年にわたる長い年月のなかで数多くの名プレーヤーたちを輩出してきたJリーグ。今回は、そんな名プレーヤーたちの仲間入りが期待される注目選手をポジション別にピックアップした。GK&DF編では連続フルタイム出場記録を続ける鉄人や昨シーズン飛躍を果たした若手サイドバック、日本サッカー史にその名を残す炎の守護神など、5選手を紹介しよう。

■中澤佑二[DF/横浜F・マリノス]

2013年7月6日の大分トリニータ戦から始まったリーグ戦の連続フルタイム出場試合は、フィールドプレーヤーで歴代最多の157にまで伸びている。その間、ケガや体調不良による欠場はもちろん、累積警告による出場停止や一発退場にも無縁のプレースタイルを貫いてきた。

通算出場試合数もフィールドプレーヤーでは最多の571。これまでの軌跡が継続されれば、ホームに北海道コンサドーレ札幌を迎える10月5日に600試合の大台に到達する。それでも、中澤は今までと同じ言葉を繰り返すはずだ。

「僕が欲しいのは個人の記録よりも、マリノスのタイトルなので。それを達成して、おまけとして僕の記録がついてくれば一番いい」

キャプテンを任された20年目の今シーズンも、徹底した自己節制とケアを課す日々は変わらない。元日の天皇杯決勝で屈したセレッソ大阪のホームに乗り込む2月25日のJ1開幕戦で、Jリーグ史上でも稀有な鉄人は40歳になる。

■小池龍太[DF/柏レイソル]

JFAアカデミー福島を卒校した2014年春。Jクラブからのオファーは小池の下へ届かなかった。当時JFLのレノファ山口とアマチュア契約を結び、絶対にはい上がってやると心に誓った。

翌年に山口がJ3へ参入し、わずか1年でJ2へ昇格した過程で、169cm、64kgの右サイドバックも存在感を増していく。迎えた2016シーズンのオフ。柏レイソルへの移籍を勝ち取った。

「素直に嬉しかった。1年ずつ4年をかけて、飛び級することなく、自らの足で一歩一歩カテゴリーを上がろうと考えていたので」

J1の舞台でも開幕直後にレギュラーを奪取。アカデミー出身のスマートな選手が多い中で、一度手にしたポジションは絶対に明け渡さない、というハングリー精神は執念と泥臭さを柏に与えた。

今月13日の全北現代(韓国)戦では初めてACLの舞台で戦った。近い将来の日本代表入りをも見すえながら、22歳が描くシンデレラストーリーは世界とも対峙する新たな章へ突入している。

■杉岡大暉[DF/湘南ベルマーレ]

チーム史上で3人目となる、高卒ルーキーによる開幕戦先発を果たした昨シーズン。3バックの左ストッパーを主戦場とした杉岡は、5月のFIFA・U-20W杯では4バックの左サイドバックを務めた。

左利きで182cm、75kgとサイズも備える19歳に対して、湘南の曹貴裁監督は武器を磨いていけば2年後の東京五輪、その先にあるA代表も狙えると背中を押す。

J2を制した昨シーズンは最終的に37試合に出場した。迎えた今シーズンは新設されたヤングキャプテンに指名された。22歳以下の選手が3分の1に当たる11人を数える湘南で、若手の意見を取りまとめる役割を担う。

「常に頭をフル回転させてきた中で、心の部分も含めて、少しずつですけど成長できていると思う」

昨シーズンの途中でこう語っていたホープは、ピッチの外でもさまざまな経験を積み、メンタルも磨いて欲しいという指揮官の親心の下で、初めてとなるJ1の戦いに挑む。

■近藤直也[DF/ジェフユナイテッド千葉]

42試合の長丁場を戦うJ2で38試合に出場し、プレー時間はチーム最長の3306分間を数えた。34歳のベテランのハイパフォーマンスを導いたのは、アルゼンチン人のフアン・エスナイデル監督による徹底した食事改革だった。

就任2年目の指揮官は昨シーズンのキャンプから、脂身を極力削ぐ、肉や魚は素焼きにする、白米を玄米に変える――などを厳命。消化をよくする目的で、食事の回数も1日3回から4回に増やした。

そして、家族の協力を得て、自宅でも指揮官のレシピを実践した近藤は「体脂肪も減って、見た目がかなり変わりましたよね」と笑う。昨年の今頃は12%近くだった体脂肪率は、7%にまで減っている。

指揮官が掲げる独自のハイライン&ハイプレス戦術を実践するには、豊富な運動量がベースになる。プレーの切れ味を取り戻した屈強なセンターバックが、10年ぶりのJ1復帰を目指す名門の最終ラインで存在感を放ち続ける。