セリエA第25節、首位ナポリと2位ユヴェントスが揃って勝利を収め、依然として勝ち点1差が続いている。また3位争いはローマがウディネーゼに勝ち、単独で3位となった。そんな今シーズンのローマを支えているのはGKのアリソンだ。ここ数日間、ブラジル代表でも活躍するアリソンの周囲が騒がしくなってきている。それもそのはず、リヴァプールが夏の獲得を目指して動きを見せているからだ。アリソンとローマの契約は2021年6月末まで。クラブはできるだけ早く契約延長の交渉をまとめたいところだ。

 まさにビッグ・サプライズだ。16年7月にブラジルのインテルナシオナルからローマへ移籍した際の額は800万ユーロ(約10億8000万円)だった。『Transfermarket』によると、12月末時点でその額は1600万ユーロ(約21億6000万円)と倍に跳ね上がっている。それ以上の価値があるのでは、と見る識者もいるほどだ。ローマはアリソンを獲得する際、メディアの目を恐れて全ての交渉をWhatsApp(欧州版のLINE)やSkypeで行ったほど、慎重だったという。

 しかし、移籍1年目の昨シーズンはヴォイチェフ・シュチェスニー(現ユヴェントス)の陰に隠れ、主にカップ戦要員だった。それが今シーズンはここまでリーグ戦全25試合に出場し、2250分間ゴールマウスを守っている。総失点19はナポリとユヴェントスの15失点に続く3位。11試合が無失点だ。エウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督も「世界最高のGKのうちの一人」と認めている。瞬発力、注意力に優れ、長い両手足でのセーブも目立つ。18日のウディネーゼ戦でも、3度も決定的な相手のシュートを防ぎ、ピンチを救った。アリソンのユニフォームも爆発的な売れ行きで、店頭に品が並んでいないフィーバーぶりだ。

「ゴールを許したら、そんな自分に怒りがこみ上げる。たとえチームが勝ったとしても」とアリソン。シュチェスニーの控えだった1年目は、ナタリー夫人が妊娠中だっため「側にいる時間が長くて良かった」と気持ちを切り替えた。「ローマに来た時から準備はできていた。ただ今はローマの正GKとしてプレーができるようになった」と、自信を持って試合に臨めるようになったという。

 ローマはCL、そしてセリエAでの3位争いも最終節までもつれ込むことが考えられ、気を休める暇もないだろう。そして6月には2018 FIFAワールドカップ ロシアだ。U−17時代からセレソンのチームメイトであるネイマール(パリ・サンジェルマン)やフィリペ・コウチーニョ(バルセロナ)らと世界の頂点を目指す。「予選をトップで通過した意地がある。戦い抜くのは厳しいだろう。でも同時に素晴らしい経験に違いない」。現在25歳のアリソン、本格的なサッカー人生はまだ始まったばかりだ。

文=赤星敬子

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