21日に急逝した俳優の大杉漣さんは、サッカーをこよなく愛する人でもあった。出身地のJ2徳島ヴォルティスのサポーターを公言し、2013年、京都サンガFCとのJ1昇格プレーオフ決勝では東京・国立競技場へ応援に駆け付けた。
 訃報に接した日の夜、サンガの関係者から興味深いエピソードを聞いた。大杉さんは昨季、1人で西京極へ観戦に訪れた。VIP席や指定席ではなく、当日券売り場に並び、売店でかき氷を買ってバックスタンドの自由席に座ったという。「京都での撮影の合間だったんでしょうか」と互いに合点した。
 この試合は徳島戦ではなかった。西京極に限らず、大杉さんは時間を見つけては、カテゴリーに関係なく各地のスタジアムに足を運んでいたという。ひっそりと、劇中さながら「脇役」のように。
 生前、インタビューで「サッカーはJ1が主役でJ2が脇役というわけではない。J2でも主演的な試合がある」と語っていた。その魅力について「試合への挑み方や姿勢の問題。人間の肉と肉との戦い、気持ちと気持ちのぶつかり合い。そういうものが見え隠れする試合がある」とも。
 25日、J2が開幕する。大杉さんは、スタンドのはるか上から、俯瞰(ふかん)していることだろう。

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